どんなに運動しても「痩せない」本当の理由 半年間の実験で明らかになったこと
運動をして減量したいと思っている人は、自分が自分の最大の敵になる──。運動と減量、そして双方のもどかしい相互関係についての最新の大規模研究でこんなことが示された。
運動を始めてからの食事の摂取量と活動を入念に追跡したこの研究では、被験者の多くが運動をしても減量に失敗したり逆に体重が増えたりし、その原因は運動以外にも生活を微妙に変化させていたことだとわかった。しかし、少数だが減量できた人もおり、彼らの成功が私たちにとってヒントになるかもしれない。
消費した量を相殺してしまう?
正確で合理的な世界においては、運動をすればやせる。肉体的な活動はカロリーを消費し、消費したカロリーを補充したり全体のエネルギー消費を減らしたりしなければ、エネルギー収支のバランスがマイナスになる。すると、脂肪など体内に蓄積されたエネルギー源が使われ、体重が落ちる。
しかし、人間の体の代謝はつねに正確で合理的なものではなく、過去の複数の研究では、定期的な運動を始めた男女の大半は運動によって消費したカロリーから想定されるよりも30〜40%程度しか減量できなかった。
なぜ運動しても期待どおりに減量できないのか、理由は明らかになっていない。この問題に取り組んでいる研究者らに共通している意見が、大半の人は運動でカロリーを消費しても、食べる量が増えるか活動が減るか、もしくはその両方で消費した分を相殺してしまうということだ。
体重が減り始めるとエネルギー代謝率が低下するとも考えられる。これらのことによってエネルギー収支のバランスがプラスになる、つまりは体重が増えるのだ。