どんなに運動しても「痩せない」本当の理由 半年間の実験で明らかになったこと
しかし、それは活動が減ったことが理由ではないと研究チームは突き止めた。ほぼ全員の活動量は一定に保たれており、その代わり、運動した被験者は食べる量が増えていた。
ただ、余分なカロリーはわずかで、運動量が少ないグループは1日に約90キロカロリー、運動量が多いグループは1日に約125キロカロリーにすぎなかった。しかし、これだけのカロリーでも減量を阻むのに十分なのだ。
最後の4口を我慢できるかどうか
さらに興味深いことに、運動による消費カロリーを最も相殺し、体重の減少が最も少なかった人々は、実験のはじめに行われたアンケート調査で、健康的な習慣によって不健康な習慣が許されると思うと答える傾向があった。
研究を率いたペニントン・バイオメディカル・リサーチセンターの非常勤教授ティモシー・チャーチは「実際に彼らは行動をトレードしてもよいと考えていた」と言う。「『いまジョギングをすればドーナツを食べてもいい』という考え方だ」。結果として、彼らは運動によって減量したとしてもごくわずかだった。
しかし、研究では励みになる別のデータが得られたと、チャーチは言う。1つは、ほぼすべての被験者のエネルギー代謝率が変わらなかったことだ。代謝が悪くなれば体重は戻ってしまう。
もう1つは、運動量が少ないグループの中で、余分なクッキー1枚もしくは少量のクラッカーを我慢した少数の人たちが減量に成功していたことだ。
消費カロリーを相殺した人と相殺しなかった人では「全体として違いはごくわずかだ」とチャーチは言う。「せいぜい100キロカロリーほどの話で、大半の食べ物なら4口程度の量だ」
運動によって減量したいと思っている人は、食べるものに十分注意を払い、どれほどおいしそうでも最後の4口をやめるべきだとチャーチはアドバイスする。
(執筆:Gretchen Reynolds、翻訳:中丸碧)
(c) 2019 New York Times News Service