テレビ災害報道の限界を超えた台風19号の猛威 あまりに広範囲で多岐にわたる甚大な被害
台風が過ぎた10月13日。栃木県佐野市や長野県上田市など各地で氾濫・水没の被害が明らかになった。
千曲川にも各局取材が出て、現地のすさまじい状況と自衛隊・消防による救援活動などが伝えられていた。
一方でかなり時間が経ったタイミングになってから、「こちらも一面が水没しています」というエリアが多数あったのも事実である。あまりに氾濫した河川が多く、テレビ局も把握に時間がかかったのだろう。
ヘリコプターで上空から撮影しようとしても、ほかのエリアを飛んでいたらいったんヘリポートに戻って燃料補給をしなければならない。それから再び飛び立って氾濫エリアに向かう。
災害報道の“限界”を超えたほどの大災害
被災地の取材もなかなか難しい。まず現地にたどり着くまでが困難である。鉄道は運行休止、道路は寸断されている。記者とカメラマンが四輪駆動車で現場近くまで行っても、最後は“徒歩”で現場に向かうことが多い。
ようやく被災地に着いて、水没した家の前で呆然とする人がいたとする。
話をしてくれる人であれば、じっくりとお話を聞かなくてはならない。銀座や新橋での街頭インタビューとは違う。
台風前の様子、避難したときのこと、氾濫したとニュースで知ったとき、そして水没した家を見たとき……。その人に寄り添い、そして避難時などの状況は貴重な証言として取材をする。
そうすると1日に取材できる被災者は、ほんの一握りの人だけである。記者たちはいつまでもそこにいるわけにはいかない。
取材した分はいったん本社に送るか、記者が持ち帰ってニュースにするという作業が必要なのだ。そして翌日、記者たちは再びそれぞれ被災地に向かうのだ。
これらの取材を各局とも「15人程度」の人員が担っているのである。
台風19号は、ある意味でテレビの災害報道における“限界”を超えた大災害だったと言えるだろう。同じような超大型台風が襲来した際にはどう対応していくか。今回、災害報道の現場で生じたさまざまな教訓が今後に生かされることだろう。
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