大日本住友、「3200億円巨額買収」の皮算用

主力薬「ラツーダ」後の大黒柱を確保できるか

同社史上で最大となる3200億円の企業買収に踏み切った大日本住友製薬(記者撮影)

製薬大手の一角、大日本住友製薬が同社史上最大、3200億円の企業買収に踏み切る。

「これで次世代の成長ドライバーの準備が整った」

9月6日、買収発表会見の席上で同社の野村博社長は胸を張った。

3年後に消える「大黒柱」、大日本住友の危機感

大日本住友が買収するのは、スイスとイギリスに本社を置く2014年創業の創薬ベンチャー「Roivant Sciences(ロイバント・サイエンシズ)」社の研究開発子会社5社などだ。10月末の契約締結を見込み、年間の研究開発費用が1000億円に満たない大日本住友にとって社運を懸けた買収になる。

大日本住友は、精神や神経領域の薬剤に強みを持つ。現在の主力品は統合失調症薬「ラツーダ」だ。自社創薬で2011年にアメリカで発売を開始し、2018年度の売上高は約1900億円。大型薬の目安とされる1000億円を優に超え、全社売上高約4600億円の4割超を稼ぐ大黒柱である。

だが、裏を返せば、「ラツーダ頼み」の収益構造とも言え、2023年初にも訪れるラツーダの特許切れ後、収益柱や成長ドライバーをどう確保するかが大きな課題となっていた。

医薬品は新薬の特許が切れれば、より安い後発品が市場を席巻する。とくにラツーダが主戦場としているアメリカでその傾向が顕著で、後発品登場から1年後、先発品の売上高は10分の1程度にまで急降下してしまう。

大日本住友は3年後に差し迫ったこの危機を乗り越えるため、新薬開発に注力してきた。目玉はがん関連の新薬。がん領域は生活習慣病などに比べて既存薬が少ないうえ、市場の成長余地も大きい。

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