結婚後豹変した妻に耐えきれず別れた男の告白 家事と育児と仕事に追われたあげくの決断

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ひとみさんは、人からどう見られているかを異様に気にした。ある日、子どもが作文で賞を取り、意気揚々とした表情で表彰されたと言って喜んでいた。しかし、本来ならば喜ぶべきはずの子どもの顔はまったく浮かない表情をしていた。

ひとみさんに問いただすと、自分が代わりに作文を書いて賞を取らせ、賞をもらいにいったと悪びれもせず話した。

「そんなことしたら、子どもにとってプレッシャーになりますよね。『なんでそんなことするの?』と聞いたら、『子どもがバカにされたくないから』と言ってました。それって子どもじゃなくて、自分が相当バカにされて生きとるんやなと思いましたね。とにかくプライドが高くて、誰かを上から押しつぶさないと生きていけない人なんですよ」

子どもの習い事の送り迎え、食事、後片付けなどの家事を、晴之さんはこなした。。晴之さんは幸いにも子育ても料理も大好きだったし、苦ではなかった。

天津飯に激怒

中華料理屋でひとみさんが天津飯を注文するのが好きなのを晴之さんは知っていた。ある日、ひとみさんが喜ぶだろうと思ってスーパーでレトルトのかに玉を買って夕食のテーブルに乗せたら、突如として怒り始めた。

「『こらぁ、天津飯じゃねぇ!! 私の嫌いなものばっかり作りやがって!! それと、私はA社の商品が嫌いなんだよ!』って怒り始めたんです。でもよく見たら、メーカーはB社でした」

ご飯を作っても感謝の言葉はなく、すべてに言いがかりをつけて晴之さんを罵倒するようになるのは、日常茶飯事だった。

ある日、冷蔵庫にレタスがあったことを思い出し、あれで夕食を作ろうと思って帰ると、レタスはゴミ箱に捨ててあった。聞くと、茶色くなっていたから捨てたという。そこだけ取ればいいと返すと、ひとみさんは般若のように目を吊り上げた。

「食中毒にさせる気か! 私を殺す気やろ、あんた!」

その日から前日に残った食べ物は、すべて捨てるというルールが新たに生まれた。

その後も罵倒される場面が少なくなかった。人格否定する言葉は慣れていたが、「出ていけ!」と怒鳴られたため、晴之さんは家を出ざるをえなかった。

結局、妻は子どもたちを実家に連れ去ってしまった。そして、離婚を弁護士から一方的に切り出された。

「彼女は、子どもたちが僕に懐いていたのがずっとムカついたんだと思います。僕が苦しむこと、僕が傷つくこと、子どもが傷つくことが大好き。だから子どもを連れ去ったんだと思います。人が困るのが楽しいんですよ。本当に彼女は救われない人だと思いますね」

会えない子どもたちのことを思い、毎日心が引き裂かれんばかりの日々を過ごしているのが、もう1つの離婚の負の現実なのである。

【2019年10月3日20時00分追記】関係者のプライバシーに配慮してタイトルと本文の一部を修正しました。

菅野 久美子 ノンフィクション作家

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かんの・くみこ / Kumiko Kanno

1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。出版社で編集者を経て、2005年よりフリーライターに。単著に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国』(双葉社)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(KADOKAWA)『母を捨てる』(プレジデント社)など。

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