20代の「結婚相談所」利用がじわり増える背景 自分のペースで効率よく、恋の痛手も最小限

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また、デジタルネイティブの世代がゆえに、SNSでの自己表現に違和感がなく、オンライン上で複数の自分を持ちながら喜怒哀楽を表現できるオープンコミュニケーションができるという共通点があるように思います。

そんな彼らが、アプリ・ネット系婚活サービスに親和性が高いのは当然ですが、結婚相談所は、彼らから「合理的な手段」として支持されています。結婚相談所の最大の特徴といえば、顧客一人ひとりにつく相談員の存在ですが、定着していたのは「とにかく結婚とお見合いを勧められる」といった、やや強引な指導者イメージ。ですが今その状況は変わりつつあります。

ジムトレーナー的な距離感

お相手探しは自らシステム上から気軽に行えるようになり、担当相談員はジムトレーナーのように隣で伴走してくれる存在になっています。また、結婚相談所の場合、独身証明書の提出が義務付けられていることが一般的で、お相手は独身であることが証明されています。

例えば、ゼクシィ縁結びエージェントの場合、相談を請け負うコーディネーターの年齢は20~30代。各利用者に専任者が付き、利用者に近い目線で本人も気づくことのない望みや実際の希望条件を整理し、マッチングをフォローします。実際のやり取りは当人同士で行いますが、デートに至るまでのやりとりや場所の候補、服装へのアドバイスほか、デート後はもちろん交際成立後も相談に乗ってくれますし、お断りのやり取りも引き受けています。

気持ちを通わせるうえで生じる痛みや不安は出会いにつきものですが、身の丈・同調を大切にする20代が避けたいポイントを、うまくコーディネーターがフォローしてくれます。

つまり、現在の結婚相談所は、ネット婚活サービスのように自分でお相手を探すことができる気軽さと、従来の結婚相談所のように伴走してくれる担当者と、そして独身証明書という安心感が融合されたといっても過言ではないでしょう。結婚したいと思う20代の男女が、一手段として自然に選択するのも納得です。

婚姻組数の低下の一方、結婚したいと思う人は77%いる世の中で、婚活市場は、今後も拡大していくことが予測できます。その中で、利用者のボリュームゾーンとなる、ミレニアル世代の価値観を捉えながらサービスのあり方を変えていくことが、選ばれるサービスのカギなのではないでしょうか。

また、オンラインでの自己表現を当たり前としながらも、コミュニケーションに対し繊細な感覚を持ち合わせる彼らのニーズに応えていく先には、手法がさらに増え、利用者が合理的に自分にフィットする手段を選び取ることができる、まさに婚活ビュッフェのような市場が待っているのかもしれません。

桜井 まり恵 恋愛・婚活アドバイザー 

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さくらい まりえ / Marie Sakurai

1999年リクルート入社。ゼクシィ事業部配属後、「ゼクシィ」の運営する婚活総合サービス「ゼクシィ恋結び」「ゼクシィ縁結び」のサービス企画を担当。恋愛・婚活の悩みに答える、婚活アドバイザーとしても活動中。

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