20代の「結婚相談所」利用がじわり増える背景 自分のペースで効率よく、恋の痛手も最小限

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結婚相談所に20代の関心が高まる背景について解説する前に、改めてサービスごとに普遍的な部分もありながら、顧客ニーズによって変わりゆく婚活の手段を紹介します。大きく分けると3つです。

1つ目は、元祖ともいえる結婚相談所。結婚を前提とした出会いから交際成立まで寄り添うサービスで、基本的には相談所へ出向き情報を提供してもらい、担当相談員のフォローのもと相手探しを進めます。

最近では、自らオンラインのシステム上でお相手検索をすることができるところもあり、紹介してもらうというよりは自ら積極的に探しにいく、という顧客がより便利に利用できるようなスタイルの変化もあります。ただ、一般的な認識では確実な出会いの一方で金銭的、心理的にも入会へのハードルを高く感じる人が多い手法かもしれません。

婚活イベントやネット系婚活サービスの実態

2つ目が、婚活イベントやパーティー。結婚相談所への入会手続きなどと比べて気軽に参加することができ、“会う”ことから始まる出会いの機会を得られるなどの理由から、今もニーズは衰えません。

3つ目がアプリ・ネット系婚活サービスです。スマホ普及率が75.1% [平成30(2018)年度情報通信白書(総務省)]となった今、いつでも情報にアクセスできる利便性は万人に受けています。

それに加えて、利用者の拡大につながったのはスマホとともに大人になった20代・30代の婚活市場への流入です。免許証など身分証明書を登録しないと使えないなど、より安心・安全に利用できるような対策も進み、一層身近で使いやすくなっています。

今、そんなアプリ・ネット系サービスと、これまではハードルが高く、婚活の最後の手段と思われてきた結婚相談所も、より気軽に利用できるなど境目がなくなりつつあります。そして、その動きとともに20代の利用者も結婚相談所に増加しているのです。

20代が結婚相談所にも目を向け始めた背景として、企業努力の側面はもちろんですが、今の20代が時代の流れを背景に形成した価値観が影響していると考えています。

「ゆとり世代」「さとり世代」と言われる20代ですが、彼らが生まれた時代はバブル崩壊前後、直後には阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件。物心ついた頃には、リーマンショックに東日本大震災と、非常に不安定な出来事が多い時代でした。そのような中で次第に、身の丈・調和を大事にするという共通の価値観が生まれていったと考えられます。

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