「気温」だけで熱中症危険度を判断すると危ない 気温だけでは図れない「熱」がある

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気温だけで熱中症の危険度を判断するのは危険な理由とは(写真:zak/PIXTA)
ピークは過ぎたようだが、暑さ寒さも彼岸まで、まだまだ注意が必要だ。ポイントは気温を絶対視しないこと。気温は体温に影響する1つの因子でしかない。医学生のときから30年、体温の研究にはまり、『40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか 体温の科学から学ぶ猛暑のサバイバル術』を書いた、早稲田大学人間科学学術院の永島計教授に詳しく聞いた。

汗の本業は「体温調整」ではない

──体温調節の専門器官はないと聞き、虚を突かれる思いです。

体温調節は借り物レースです。暑いと皮膚血管が拡張したり、寒いと震えることで筋肉を使ったり、また褐色脂肪という熱を生む脂肪を使ったり。発汗もそうです。

──汗は専門器官化しつつある?

そうですね、ここまで体温調節に使っているのは人間だけです。ただ、汗の本業は滑り止め。ほかも、皮膚血管は循環、筋肉は運動とみんな本業があります。それらが、体温調節にも使われるようになった。これほど多くの器官、臓器を使って調節する体の機能はありません。しかも、極めて細かく調節されている。例えば、血圧は変動が大きく、高血圧の場合、服薬が必要ですが、体温調節で薬を飲む人はまれです。

──その「体温」は2つある。

脳や臓器のある中心の温度(コア温)と体表の温度(シェル温)です。人間は見かけよりも中身で(笑)、重要なのはコア温。ただ、環境に接する皮膚温は体温調節において重要です。コア温は37±0.3℃、皮膚温は30〜35℃です。

──最大7℃の差があります。

理由は代謝。摂取したエネルギーの8割は臓器や筋肉で熱になりコア温を高めます。そして、コア温を維持しようと筋肉、脂肪が断熱材として働きます。ただ、最終的には体温より温度の低い外界に熱は放出されます。

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