高齢者に死をもたらす「熱中症」の甚大リスク まずは週1度の親への電話を2回以上にしよう
熱中症が起こりやすい季節が到来した。昨日(7月3日)には、熱中症の疑いで埼玉県の76歳男性が亡くなったことが明らかになった。
国を挙げての啓発活動が功を奏し、熱中症による重症化率・死亡率は減少傾向だという。だが、その中で高齢者の死亡率・死亡者数だけは、飛び抜けて高い。
そこから見えてくるのは、超高齢社会、老々介護、孤立、貧困など、今の日本社会の現実そのものだ。
高齢者の死亡者数は若年~壮年者の数倍
熱中症に詳しい帝京大学附属病院高度救命救急センター長の三宅康史教授による調査では、2012年以降各年6~9月の熱中症の死亡者数は、70歳未満に限ってみれば50人前後だ。ところが70歳以上の人では、一気に300人以上に跳ね上がる。
日本はすでに超高齢社会。高齢化率は30%に迫り、2025年までには「団塊の世代」が全員後期高齢者になり、百寿者は2017年の段階で6万8000人近くに上る。その中で、心身が弱り、持病を抱え、在宅で闘病したり介護を受けて生活する高齢者が急増している。
これが熱中症による高齢者の死亡数が際立つ要因の一つだと、三宅教授は考えている。
「基本的に高齢者の熱中症と、スポーツや屋外の肉体労働などでかかる若年~壮年の熱中症とは、分けて考える必要があります。若い人たちの場合、特に最近はみんな気を付けて水分や休憩を取るし、もともと体力もあるので、軽症で済む場合が多い。
しかし、高齢者の熱中症は異なります。暑さで食欲が落ちて脱水気味になった上に、糖尿などの持病が悪化していたり、普段から低栄養だったり、虚弱(フレイル)になっているなど、熱中症以外のさまざまな要素が重なって複合的に起きることが多い。そのため、重症化しやすく、回復も遅いのです」(三宅教授、以下同)
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