高齢者の虫歯が悪化しやすく危険すぎるワケ すぐに治療しないと別の病気を招く場合も

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「なんとなく痛む」状態でも深刻な事態になっていることも(写真:zon / PIXTA)

歯が痛い。歯がしみる。虫歯の痛みは老若男女に共通する悩みです。

高齢者が虫歯になると、進行が速く、すぐに重篤な状態になってしまうことがあります。筆者は歯科医師としての知見や経験を基に、歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、その中で紹介していることのひとつです。

なぜすぐに悪化する?高齢者の虫歯

高齢の方が「なんとなく痛む気がする」と思って歯科医院に行くと、重度の虫歯で、すでに治療が行えない状況になっていることがあります。最悪の場合は、抜歯するしかありません。なぜ、このような状態になってしまうのでしょうか。

エナメル質が薄いから

まず虫歯とは細菌が糖質を基に作り出す酸が歯を溶かすことで生じます。歯は歯髄(しずい)と呼ばれる神経部分を象牙質が覆い、その上をエナメル質が覆う構造になっています。エナメル質は硬く、虫歯菌は容易に進行することができません。しかし、虫歯菌が象牙質まで届くと、象牙質は柔らかいため、虫歯菌はすぐに象牙質を腐食して歯髄まで到達してしまうのです。

高齢の方は、長年のブラッシングや咀嚼(そしゃく)などによってエナメル質がすり減り、薄くなっている状態にあります。また、加齢によってもエナメル質は薄くなりますので、若いときに比べると数分の1の厚さになっていることもあります。そのため、虫歯菌の進行が容易になり、すぐに象牙質・歯髄まで虫歯になってしまうのです。

歯肉がやせてきたから

加齢によって歯肉はやせていきます。下の歯茎は下に下がりますし、上の歯茎は上に上がり、歯の長さが長くなったような印象を与えます。歯肉がやせてくると、硬いエナメル質に覆われていない歯の根元の部分が露出します。そのため、虫歯菌が直接歯の根元を攻撃し、虫歯になりやすくなってしまうのです。

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