歯周病という身近な病気の恐ろしすぎる真実 成人の8割がかかる国民病を甘く見るな
真冬の風物詩でもあり、流行のピークを迎えているインフルエンザ。学校や職場でマスクをする人も増えてきて、日本全国を見渡すと学級閉鎖を余儀なくされている地域もあります。空気が乾燥しやすい季節でインフルエンザに限らず、ノロウイルスなどの細菌・ウイルスによる感染症の警戒ムードが高まっています。
一方、インフルエンザやノロウイルスのように突発的なニュースにはなりにくいものの、厚生労働省の調べによると成人(30~64歳)の7~8割がかかっているとされる感染症をご存じでしょうか。それは「歯周病」です。筆者は歯科医師としての知見や経験を基に、歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、その中でも強く訴えていることのひとつが、歯周病の予防と治療の重要性です。
歯が抜けるだけではない!? 歯周病が及ぼす影響
そもそも歯周病とは何でしょうか。耳にしたことがあっても、正しく知っている人は少ないかもしれません。日本歯科衛生士会ホームページより概要を抜粋しますと、「歯肉・歯根膜・セメント質・歯槽骨で構成される歯周組織が、口の中の細菌感染によって破壊される慢性炎症性疾患のこと」で、成人だけではなく小・中学生などの若年層も多く罹患しているとされています。
適切に歯磨きができていないと、健康な歯ぐき(歯肉)に炎症が起こり、それを改善しないまま深部の歯周組織まで炎症が波及すると、歯と歯肉の境目の溝が深くなり、歯周ポケットが形成されます。これが重症化してしまうと歯がぐらつき始め、残念ながらたくさんの歯を失ってしまうことになりかねません。しかも歯をしっかり磨いていても、気づかずに歯周病になっている人がかなり多いのです。
歯周病を「単に歯が抜けるだけの病気」と片付けてしまうのは大間違いです。最近の研究で歯周病は全身に悪影響を及ぼすことがわかってきているのです。特に糖尿病と密接な関係があるほか、突然死の原因になりかねない心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めたり、失明や手足の切断につながるような重症になってしまったりするのです。
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