歯周病という身近な病気の恐ろしすぎる真実 成人の8割がかかる国民病を甘く見るな

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メカニズムを説明しましょう。口の中に住んでいた歯周病菌は、食事中などで傷ついた口の中の粘膜の毛細血管から血管内に入り込みます。その歯周病菌の刺激により動脈硬化を誘導する物質が出てきて、血管内にプラークと呼ばれるお粥状の沈着物ができることで血液の通り道が狭められ、心臓の冠動脈を硬化させると言われています。このことはヒトの大動脈の動脈硬化症と呼ばれる患者さんの血管の中から5~20%ぐらいの割合で歯周病菌の遺伝子が見つかっていることからも確認されています。

難病・バージャー病の患者は歯周病も診断されていた

もうひとつ、おそろしいのは「バージャー病」という聞き慣れない病気と歯周病の関係です。手足の末端の血管が詰まり、炎症がおき、皮膚に痛みや潰瘍を起こし、最悪の場合は手足を切断しなければならないこともある病気です。

実はバージャー病にかかったすべての患者が歯周病だと診断され、その進行度合いは中度から重症です。痛み、または潰瘍がある部分の血管から採血し、検査を行った結果、血液からは歯周病菌が検出された一方で、正常な箇所からは歯周病菌が検出されませんでした。

歯周病菌は血栓をつくりやすく、皮膚の内側の細胞に進入するとの報告がされています。口の中にとどまらず、体全体に行ってしまい、最悪の場合バージャー病を引き起こすとみられます。これが心臓の近くで起これば心筋梗塞、脳の近くで起これば脳梗塞となる可能性があるのです。

このように放置できない歯周病を予防・治療するにはどうしたらよいでしょうか。まず基本は歯磨き=ブラッシングです。歯と歯ぐきの間を意識して、1本1本丁寧に磨く意識が必要です。こまめなうがいも欠かせません。一度のうがいでお口の中の細菌がかなり出て行くと言われています。ガラガラうがいだけでなくブクブクうがいもこまめに行いましょう。

とはいえ、毎日しっかりブラッシングしていても、必ず歯石はついてきます。目安としては3カ月に1回、つまり季節ごとに定期検診を受診して歯石を取っていくのが理想です。しっかりと定期的な検診で歯のクリーニングを行い、口の中全体の細菌数を減らすことが免疫力の低下を防ぐことにもつながります。

小林 保行 歯科医師/キーデンタルクリニック院長

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こばやし やすゆき / Yasuyuki Kobayashi

2004年東京歯科大学歯学部卒業、表参道の総合歯科医院に勤務。2006年市谷の歯科医院にて副院長として勤務。2008年に赤坂見附駅から徒歩1分の場所にキーデンタルクリニックを開院しました。開院以来、「確かな技術で納得の治療を」モットーに、あごや歯の場所を細かく分析をし、歯だけでなく口回りを総合的に診断。現在はムシバラボというサイトを立ち上げ、歯や口周りの情報を発信。主な資格はDHA岩田セミナー認定医、総合治療セミナー「一の会」認定医、クリアアライナー矯正認定医、日本顎咬合学会所属、日本インプラント学会所属、消防庁認定、救命技能講師修了。

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