高齢者に死をもたらす「熱中症」の甚大リスク まずは週1度の親への電話を2回以上にしよう

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三宅教授によると、独居や高齢者のみの世帯で、家族とも疎遠で隣近所とも付き合いがないなど孤立している場合、発見が遅れて重症化しやすいという。特に「老々介護」では、介護者が先に倒れてしまうと被介護者も救われず、同時に複数の死者が出てしまうこともある。

この2、3年、猛暑の中、閉め切った室内で老夫婦や高齢の親子・きょうだいが亡くなって発見されたというニュースを目にすることも、まれではなくなっている。

世の中にこれだけ熱中症の啓発が溢れていても、十分に届かない人や、届いても自分たちだけでは対処が難しい人も少なくないのだ。

週に2回は親に電話して確認を

昔は、冬期に高齢者が亡くなると「残念ながら冬を越せなかったねぇ。今年は特に寒かったから……」という会話が交わされたものである。だが、昨今は「夏を越せなかったねぇ。猛暑だったから」に変わりつつある。

「熱中症の季節には家族や周囲の人が、いつも以上に気に掛けることが大切です。電話をする回数を増やす、頻繁に様子を見に行く、ちょっと声を掛ける。

そういったことで、具合が悪そうなのがわかって早めに対処すれば、重症化せずに済みます。今後ますます在宅が推進され、家で過ごす高齢者が増えることでリスクは一層高まります。行政も含めて、高齢者の熱中症対策は喫緊の課題ですね」

対策は身近なところから。とりあえず夏の間は、週に1度の親への電話を2回以上にするとしよう。

梶 葉子 医療ジャーナリスト

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かじ ようこ / Yoko Kaji

成蹊大学文学部日本文学科卒。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。システムエンジニアを経てテクニカルライターとして独立。その後、医療・医学分野にフィールドを移し、2002年ごろから医師・医療機関への取材・インタビューを中心に執筆活動を続ける。

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