肺がん治療に使える薬が患者ごとに違う理由

「1%単位のズレ」が患者の「命運」を左右する

診断結果によっては、キイトルーダを使った治療を受けられない(写真:sunabesyou/iStock)

近年、肺がん治療において、オプジーボとキイトルーダという画期的な免疫療法薬(免疫チェックポイント阻害薬)が開発された。この免疫治療薬は、がん細胞そのものをたたく従来の抗がん剤治療薬とは異なり、患者自身が持つ免疫力をサポートしてがん細胞を攻撃する。

主にがん治療に使われる医薬品の中には、効果や副作用を予測するため、「コンパニオン診断」と呼ばれる病理検査・診断を行わなければならないものがある。多くの医薬品はコンパニオン診断を実施せずに使用でき、オプジーボもその1つである。

一方のキイトルーダは、コンパニオン診断が必須であり、診断結果によってはキイトルーダを使った治療を受けられない場合がある。

治療に使用できる条件は異なる

一部のがん細胞は、患者の免疫システムを担うリンパ球の攻撃をかわすシグナルを出している。オプジーボとキイトルーダは、このシグナルが伝達されるのをブロックし、リンパ球にがん細胞を攻撃しやすくさせる薬剤である。

オプジーボとキイトルーダはいずれも、進行した肺がんの治療に用いられる。患者自身の免疫機能をアップさせる薬であるため、副作用が少ない新薬として期待されている。

ただし、治療に使用できる条件は異なる。

オプジーボは、他の抗がん剤治療で効果がなくなった場合に2次療法として選択される。他方、キイトルーダは、最初の抗がん剤治療薬として使用でき、コンパニオン診断によって投薬の効果が高いと予測できたがん患者のみが対象となる。

キイトルーダのコンパニオン診断(PD-L1検査)では、病理医が顕微鏡で観察しながら、キイトルーダが作用するがん細胞が全体の何%に達するのか判定する。このとき、「1%未満」「1~50%未満」「50%以上」と分類し、それぞれ陰性・低発現・高発現と3段階評価する。

50%以上の高発現症例は、抗がん剤治療に使う最初の薬としてキイトルーダを選択できる。ただし、1~50%未満の低発現症例は初回治療には使えない。さらに、1%未満の陰性症例だと、キイトルーダを使った治療は断念せざるをえない。

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