高齢者に死をもたらす「熱中症」の甚大リスク まずは週1度の親への電話を2回以上にしよう

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高齢者の場合、家での日常生活の中にこそ、熱中症のリスクがある。

年をとって体力・気力が弱れば、毎年やっていたことも、だんだんとできなくなってくる。いつも元気な祖父母や両親も、後期高齢者になり、さらに80歳を過ぎてくれば、子どもや孫には見せないところで、衰えてきているかもしれない。

例えば、夏布団と冬布団の入れ替えができず、冬の羽毛布団をそのまま使っていたり、衣替えまで手が回らず、ヒートテックの下着や厚手のシャツを着ていたりする。

気温の差を感じにくくなって、コタツがついていたり、エアコンのスイッチが冷房に切り替わっていなかったりする。中には、部屋にエアコンがなかったり、あっても電気代を心配して使わないこともある。

糖尿病、高血圧の高齢者は注意

さらに「老々介護」では、介護者も高齢で認知症があるなど判断力や認知機能が衰え、季節に応じた適切な生活を送ることが難しくなってくる。炎天下に買い物に行って倒れたり、足が弱って近くのスーパーにも頻繁には行けなくなったりして、食材やペットボトルなどを十分に補充できないこともある。

そういった状態で真夏日や熱帯夜が続くと、慢性的な食欲不振や睡眠不足から少しずつ体調を崩し、熱中症になっていく。高齢者は日常的に多くの薬剤を服用している場合も多く、そこにもリスクが潜む。

「たとえば、糖尿病がある方は、多尿になるので水分が失われて脱水になりやすい。末梢神経の感覚が鈍くなるため暑さを感じにくく、上着の脱ぎ着など適切な温度管理が難しい場合もあります。

また、高血圧で服用する降圧薬は、心機能を下げて血圧を下げるため血液の循環が低下し、体内の熱を体表に運びにくくする危険性があるし、利尿薬は当然、排尿を促すので脱水気味になります。いつも服用している薬剤であっても、熱中症の季節にはリスクになることもあると心得て、十分に注意をすることが必要です」

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