「効率的な人」ほど忙しさから解放されない理由 「内在時間」が減っているのかもしれない
哲夫:そうやってできたのに「鳥人」っていうネタなんかもあったりするんです。(※2009年のM-1グランプリ決勝戦で披露し、審査委員長の島田紳助に大会唯一の100点を付けられた伝説的な漫才。)
釈:「鳥人」!名作ですよね。
ネタを考える時間は「瞑想」のようなもの
哲夫:いえいえ、もう全然そんなあれじゃないですけど、あれって生い立ち全部入れたようなもんなんです。なかなかネタが思いつかないときに物心ついたときから体験した事象をすべてガーッとさらってみようと思って、1回そういう作業をしたんですよ。
そんなら、あ、そうやそうや、ニワトリ飼うてたときがあって、ある日学校行って家に帰ってきたら大きい包丁だけまな板の上にドーンと置いてあって、「あれっ?コケコッコー聞こえへんな」って思いながら晩飯になったら、晩飯にから揚げ出てきて「あ、このから揚げ、メッチャおいしい」言うたら「せやろ、ニワトリ殺してん」となって「エッ、殺したん?」ってすごいびっくりした思い出があって、そのときに、鳥のお化けみたいなやつこうへんかなって一瞬思ったのを思い出したから、あ、そういうネタしようかなと思いついたんです。でも、考えてみれば、それはあの瞑想のような時間がすごく大事だったんですよね。
釈:ちょっと大仰に言えば、仏教でいう瞑想の2つの種類。止と観にも通じるかもしれないなあ。違うかな(笑)。
哲夫:そうですね、現実じゃないものをずっと頭に浮かべて、これはどうやった、どうなんやって考え続けて、現実がこう1秒1秒過ぎていきますけれども、全然違うところでたぶん1秒が1秒じゃないような感覚の中に身を置いている状態です。
とはいえ、メチャメチャしんどいですけどね、その作業って、もうあらゆる僕のお笑いの仕事のなかでいちばんしんどいのがそれです。でも、こうして考えてみると、実は豊かな時間を過ごさしてもらってたんかもしれないんですね。
釈:そうかもしれないですよ。普通の人は8時間も瞑想を続けないといけない機会はなかなかありませんからね。だから、哲夫さんは視点がいつもユニークなんですね。
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