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自ら毛を抜く「抜毛症」に陥った女子大生の壮絶 自分を責め続け、気づけば入院する事態に

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  • 大塚 玲子 ノンフィクションライター
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小林さんは今、抜毛症から「完全に回復した」と感じているそうですが、「完全に回復」というのは、どんなことなのか? 私が尋ねると、こんな答えが返ってきました。

つらかった過去は、今の小林さんの一部

「昔入院していたとき、看護師さんから手紙をもらったんです。『今はつらい毎日かもしれないけれど、いつの日か“あんなこともあったな”って懐かしく思い出せる日がくることを願っています』と書いてくれて。その手紙を何年か前にたまたま見つけたとき、『あ、私、今この状態になっているな』と思ったんです。思い出したときに、別につらくない。

あの頃ずっと、抜毛症は自分の人生の中心にあったけれど、いつの間にか私を構成する“ほんの1個”になっていた。それって、なんて前向きなことだろうと思うんですね。心ってちゃんと回復するんだ、人間ってちゃんと回復する機能を持っているんだなって思う。すごく希望になりますよね」

なお、小林さんは抜毛症が完治した人ですが、最近は抜毛症が治らなくても、髪を剃ってスキンヘッドで活躍する女性も現れています。それについてはどう思うのでしょう。

「こういうのも新しいし、いいなと思います。私の頃はSNSもなかったので、当事者同士でつながることもできなくて、(抜毛症を)『治す』以外の選択肢はないと思っていたんですけれど。彼女の場合、症状は回復しなくても、心理的には回復されているんですよね。自分がいいと思えれば、それでいいと思います」

いろんな価値観があるし、どの選択肢でもいい。「自分で選べるんだ」ということを、知ってもらいたい。小林さんが発するメッセージは、悩んできた大きさと深さ、根っからのまっすぐさと前向きさが、強くにじみ出たものでした。

本連載では、いろいろな環境で育った子どもの立場の方のお話をお待ちしております(例/戸籍をもたない方、外国ルーツと見た目でわかる方、何かしら障害のある親のもとで育った方、親が犯罪者となる経験をした方、など)。詳細は個別に取材させていただきますので、こちらのフォームよりご連絡ください。

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