「赤字はダサい」好きへのこだわりが成功を呼ぶ 内田和成×遠山正道「仕事の発想力を磨く」
内田:新しいことを作り出すことのほうが好きなので、そこに自分の全精力を注げるよう環境を整えているようにも聞こえますね。
遠山:それはあるかもしれません。私自身としては、趣味と言われるのはすごく嫌なんです。ちゃんと成立しないといけないし、赤字はダサい。赤字でいいなら、誰にでもできますから。
0から1を生み出す
内田:なるほど。道楽は嫌なのですね。先日、私はイスラエルを訪問したのですが、現地の人によると、イスラエルは第2のシリコンバレーではない、という。
イスラエルは0を1にするのが大好きだが、シリコンバレーは1を10や100にするのが得意な場所だ。というのも、0を1にする場合、ほとんど金にならない。本当に新しいものを出すのが、自分たちの存在価値であり、シリコンバレーとの差別化になっているのだ、と。それを聞いて、なるほどと思いました。
遠山さんも0から1をつくるほうが好きで、それをやり続けたいタイプのようですね。
遠山:今の文脈で言うと、そうなりますが、これまでやってきたスープも、ネクタイも、のり弁もすべて昔からあるもので、0から生み出したものではないかもしれません。
内田:それは謙遜に聞こえます。「スープとはこういうものだ」という既存の定義を違う角度で仕立て直すと、まったく違うビジネスになる。そこが遠山さんの0から1で、ユニークさだと思いますが。
遠山:その意味で言うと、スープストックトーキョーも「なんでこうなっちゃうの?」という世の中に対する疑問やいら立ちから生まれました。そういうものは、世の中にはたくさんあり、例えば人事制度などでも、「なんでこうなっちゃうのか?」をどんどん変えていくのは面白いと思いますね。