スマホばかり頼る人が脳を使えていない理由

視覚優位の日常が「聞く力」を弱らせている

聴覚を鍛えることが脳の活性化につながります(写真:maroke/iStock)

スマホのおかげで日々の生活が格段に便利になった。一方で、スマホが私たちの脳に与える好ましからざる影響も注目されつつある。

ケータイが出てくる前は、電話をかけるときも相手の電話番号を憶えていたりしたが、今は、自分で電話番号など記憶しなくなった。脳の記憶をつかさどる部分を使わなくなったのだ。

スマホのアプリの乗換案内は便利だが、乗り換えの順番や路線図を頭の中で描いたり、途中駅の風景を想像することがなくなった。また、レストランへ行くとき、最初に行き方をスマホでチェックしてから行かないと、単純なことでも難しく感じてしまう、という経験はないだろうか? これらの例はみな、脳を使わなくなってきたという具体例である。

聴覚系部位は人間の脳の根幹

問題は、この中でも「聴覚系をつかさどる部位」を使わなくなり衰えていることだ。脳というのは、聴覚系や視覚系、思考系といったように、部位によって働きが違う。ところが、現代人のようにテレビやスマホばかり見て、脳の成長が視覚系に偏ってしまうと、脳全体の成長バランスが悪くなって、日常生活の多くの場面に支障をきたしてしまう。

視覚が優位になった場合、どうしても聴覚がなおざりになってしまう。聴覚系は、理解系や記憶系と密接な関係にある非常に重要な脳の部位。聴覚系の働きが阻害されると、わたしたちは物事をきちんと理解し記憶に基づいて行動できなくなる。

逆に、きちんと聞くことができるようになると、脳の各部位が鍛えられ、それをきっかけにさまざまな脳の部位を偏りなく、広く使えるようになる。だからこそ、聴覚系の脳部位をないがしろにしてはいけない。その意味で、聴覚系こそ人間の脳の根幹をなすと言っても過言ではない。

拙著『脳を強化したければ、ラジオを聴きなさい』でも詳しく解説しているが、現代人は耳で他人の生の言葉を聞く機会が激減し、どんどん「自閉化」している。他者との交流時間が不足し、コミュニケーション能力が低下して「自閉化=非社会化=共同体からの疎外」が進んでいる。

この原因の多くはテレビやパソコン、スマホを見てばかりで、視覚優位の生活環境になっていることだ。その意味で、現代人は、映像・文字情報に頼りすぎており、「聞くこと」よりも視覚に引っ張られる、「テレビ脳」「スマホ脳」になっている。

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