スマホばかり頼る人が脳を使えていない理由

視覚優位の日常が「聞く力」を弱らせている

その中でも最も危険なのが「スマホ脳」だ。視覚系が優位になると、聴覚系の活動は半減する。スマホはテレビ以上に、主体的に「見る」というよりも、受動的に「見せられている」状況をつくりだす。視覚系は、聴覚ほど脳の各部位をバランスよく活性化させることはできない。これが、脳の理解系や思考系の活動をも著しく低下させる。

加えて、スマホは、外部記憶装置そのもので、人の海馬をやる気にさせない。出番のない海馬は、記憶しようともしなくなる。その結果、前後の記憶が飛びやすくなり、注意散漫や物忘れが頻発する。スマホ脳で意識が飛びやすいことは、歩きスマホをしている人が他人や物にぶつかりやすいことからも、容易に想像できる。

聞く力が弱い人は問題も多い

あなたの周りにはこんな人はいないだろうか? これらはみな、聴覚系が劣っている、あるいは未発達な人たちである。

(1)人の話を聞かない

(2)怒りっぽい

(3)相手の気持ちを察することができない

自分だけ一方的にしゃべって人の話を聞かない人。聞く力は、右脳と左脳の両方にあるが、こういう人は、右脳の「聞く部位」が働いていないことが多い。自分以外の音に注意が向かない、こういう人は脳画像を見ると一目瞭然だ。また、人が話をしているとき、話を聞かず、自分が次にしゃべることばかり考えている人も、やはり聴覚系と直結している記憶系が劣っていることが多い。

怒りっぽい人。こういう人は、家族や同僚に対して、つねにイライラを抱えている。しかし、実は相手を理解する以前に、そもそも相手の話をちゃんと聞けていないケースが多いのだが、本人はそれを自覚していない。こういう人は、怒りの原因が自分の側にあることに気づかず、どうにもならない感情を相手や物にぶつけてしまう。スマホをいじっている人に声をかけると、イラッとした態度になってしまうのは、聴覚系がかなり劣っているからだ。

オフィスの新人にありがちなのが、相手の気持ちが読めない人。お客様から電話がかかってきても、相手が困っているのか、怒っているのか、泣いているのか、声から判断・想像ができず、判断をあやまってしまう。「耳で空気を読めない」のだ。視覚系優先で生きてくると、こうなってしまうが、実はこういう若者は多い。ただ、視覚系優位といっても、狭い画面を眼球を動かさず眺める習慣によって、耳だけでなく、目でも空気が読めない人が急増している。

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