アジア太平洋の安全保障は、アメリカ中心のままでいいのか?
アジア太平洋地域の安全保障は、ヨーロッパの北大西洋条約機構(NATO)のような地域的な集団的自衛機構ではありません。アメリカを中心に、日本、韓国、フィリピン、オーストラリア・ニュージーランドが二国間の安全保障条約を締結するという仕組みになっています。つまり、アジア太平洋には、「日韓安全保障条約」や「日フィリピン安全保障条約」のようなアジアの国間の条約がなく、アメリカを中心とした安全保障条約しかないのです。
こうした安全保障システムを、「ハブ・アンド・スポーク(Hub-and- Spokes)」と呼びます。アメリカをハブとして、他国を二国間条約というスポークで動かすシステムになっているために、そう呼ばれるようです。
今回はこのハブ・アンド・スポークについて、話をさせていただきます。なお、正直なところ、安全保障に関しても、色々と勉強しながら書かせていただいていますので、至らないところが多々ありますが、お許しください。
「ハブ・アンド・スポーク」とは何か?
ハブ・アンド・スポークという名は、自転車の車輪からきています。タイヤとその中心であるハブをスポーク(車輪の軸受けから放射状に延びている綱線)でつなげ、回転するというものです。
この言葉がよく使われるのは、情報ネットワークの世界です。昔のコンピュータは、真ん中に大きなコンピュータ(メインフレーム)があり、その周りに小さなコンピュータ(端末)がつながるという形になっており、これを「ハブ・アンド・スポーク」と呼んでいました。(私はこれでも情報工学科出身です。)
ただ、このシステムは、非常に古いですね。今は皆様がご存知のとおり、ウェブで分散してつながるようになっています。