悪夢のような「作文下手」を克服する簡単な手順 夏休みの作文の宿題に四苦八苦する親子へ

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【フレーム1】物語パターン

物語パターンとは、時間軸で書いていく形です。

「むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました……」で始まる昔話はまさに、その典型です。

そして、ここでも誘導的に質問をしていきます。何を質問するかと言えば、「5W1H」です。「いつ、どこで、だれが、何をやったか、なぜそう感じたか、どのように感じたか」です。それらをはじめに口頭で言わせて、次にそれをメモします。ですから、まだこの段階では作文は書きません。メモ段階です。

語彙の少ない子どもは感想を書くのが難しい

ここで問題になるのが、「どのように感じたか」の部分です。先ほども書いたように、子どもたちは気持ちを表現する言葉の数(ボキャブラリー)が極めて少ないため、パターン化した表現しかできません。すると文章を書くこと自体がつまらなくなっていきます。

そこで、「気持ちを表す表現をあらかじめピックしておく」のです。小学生が使う気持ちを表す表現はネットで調べればたくさん出てきます。それらを用意しておいて、「そのときってさ〜、この中でいうとどんな気持ちかな?」と聞いて選ばせるのです。すると、新しい言葉を覚えることもできますし、文章そのものを書く楽しさが増えていくことでしょう。

【フレーム2】説明文パターン

もう1つのフレームです。それは説明文パターンです。

序論(だいたいこんな話)
本論(詳しくいうとこんな話ー最大で3つにまとめるとわかりやすい)
結論(要するにこういうこと)

序論、本論、結論というと何となく難しく感じますが、「だいたいこんな話→少し説明するとこんな感じ→簡単にまとめるこんな感じ」の構成です。このような構成ですと、読み手は非常にわかりやすいのです。日記とは異なり、読み手があっての作文であるため、読みやすい方がいいのです。

例えば、「環境問題」のテーマで作文を書くとしたら、序論で「世界は環境問題で大変だ」とメモします。本論で「この間、クジラのお腹の中から大量のプラスチックが出てきた」や「分別収集してもプラスチックは再生されているのは少ない」など、いくつかメモします。そして、結論で「私たち一人ひとりが真剣に環境問題を考えなければ、未来が大変なことになる」とまとめる感じです。もちろん、これだけであれば、文字数が少ないため、さらに質問をしていき、関連することをたくさん口で言わせ、さらにそれをメモします。

3. メモを見ながら、書いていく

そして最後に、メモしたことを見ながら、文章を書いていきます。この段階になって初めて、「書く」のです。いきなり文章を書くことは、プロの作家でも少ないことでしょう。

以上をまとめると次のようになります。

「何をテーマにするか決める」「フレームを選ぶ」「感情表現を選ぶ」。これらについて口頭で言わせ、それをメモし、メモを見ながら書いていくということです。このように手順を追って進めていけば、誰でも書けるようになります。ぜひ、今回の夏休みで試してみてください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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