「村上春樹の英訳」で問われる"本物の英語力" 慶応、医学部の入試問題はどう変わったか
また、長文読解と自由英作文の融合問題もかなり目立つようになってきました。確かに、自由英作文が出題される前から、英語長文を読んで問いに対する答えを英語で書かせるという問題形式は存在しており、国公立大の医学部などでよく出題されてきました。
このタイプの問題は、長文の中にすでに解答として利用できる英語のフレーズや表現が存在するので、それを利用して解答の英文を書けばよいのです。
私大難関校も総合的英語力を試す問題へ
しかし近年、長文読解との融合問題は、英文を読んだうえでそのテーマに関して自由英作文を書かせるというものに変化しています。北海道大学は10年以上前から出題していますが、先ほど紹介した国際教養大のほかにも茨城大、宇都宮大などほかの国公立大にも広がりを見せています。
私が注目しているのは、慶応大学経済学部の融合問題です。あるテーマに関して主張の異なる英語長文を読んでそれを解きます。その後で、そのテーマに関連した自由英作文を書かせるというスタイルです。
この形式は2012年から出題されています。この自由英作文の特徴は、先に読んだ長文読解問題の英文からの引用が義務付けられているという点です。
長文問題の英文で基本的な知識を押さえたうえで、読んだテーマに対し自分の意見を英語で書くという、大学で必要となるアカデミックな英語の運用力を試すよい問題だと思います。
このように、読む・聞く・書くという技能が融合問題として問われるようになっているのが、近年の大学入試英語の特徴です。作題者の創意工夫によって、より総合的な英語力を試す問題が出題されていると言えるでしょう。受験生に総合的な英語力を要求しているという点で、大学入試の英語は十分よい方向に向かっていると思います。
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