「村上春樹の英訳」で問われる"本物の英語力" 慶応、医学部の入試問題はどう変わったか
前述の(A)~(D)の出題形式は定番ですが、最近の大学入試では、先の出題形式に加え、
(F)他の英語問題の領域(リスニングや長文読解問題)との融合問題
という出題が目立つようになってきています。
(E)は将来ビジネスなどの現場で、プレゼンテーションをするケースなどを想定している問題だと思われます。ただ英語を書く力だけではなかなか解答できない問題です。著書でも取り上げましたが、例として次の神戸大の入試問題を見てみましょう。
Look at the pictograms (A) and (B), both of which represent a hot spring, and answer the following questions. (2018年神戸大学前期)
(A) (B)
(1)は、日本への観光客に対して、どちらのピクトグラム(絵文字)が温泉を表すものとして適しているか、その理由を書けというオーソドックスな出題ですが、(2)は外国人観光客をどのようにして日本の温泉地に集客するのがいいのかを提案しなさいというものです。
これは、上記(A)〜(D)とは異なる、自由英作文の定番問題から、さらに1歩踏み込んだ問題です。選択肢が提示されたうえでそれを選ぶ(例:大学構内は、①喫煙可、②全面禁煙、③分煙のどれがよいと思いますか?)という問題はこれまで結構ありました。それに対し、(2)はゼロからあるテーマに関して自分が英語で提案をするという発想力をも問うタイプの問題であるといえるでしょう。
自由英作文問題の新しい傾向
(F)の融合問題は、従来個別に問われていた問題と自由英作文の問題が融合したタイプです。東京外語大では、リスニングで長めの英語を聞き、まず聞き取った内容を200語程度の英文で要約し、それから聞き取った内容に関して200語程度で自分の意見を書くという問題が出ます。
受験生にとってこれはかなり難しいようです。普段の英語学習で音声ときちんと関わっていない、いわゆる従来型の「読む・書く」だけの英語学習では太刀打ちできません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら