山崎貴監督が語る「アルキメデスの大戦」とVFX VFXが進化・普及する中、斬新な映像表現必要

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――山崎監督のフィルモグラフィはいくつかの傾向があるように思いました。1つは歴史もの、1つはフルCGアニメ、それから『ALWAYS 三丁目の夕日』や『DESTINY 鎌倉ものがたり』など、西岸良平先生の作品もあります。

SFというラインもありますよ。『ジュブナイル』や『Returner リターナー』といった作品はそういう部類に入ると思います。むしろ「CGアニメ」「歴史もの」「SF」というカテゴリーになるのではないでしょうか。

山崎貴(やまざき たかし)/1964年生まれ。長野県出身。2000年『ジュブナイル』で映画監督デビュー。CGによる高度なビジュアルを駆使した映像表現・VFXの第一人者。2005年の『ALWAYS 三丁目の夕日』が第29回日本アカデミー賞において計12部門で最優秀賞を受賞。後にシリーズ化される大ヒットを記録した。その後も『永遠の0』(2013年)、『STAND BY ME ドラえもん』(2014年/八木竜一との共同監督)など多くの大作、話題作を手がけた。『アルキメデスの大戦』は15本目の監督作となる(筆者撮影)

――そういう意味で、今回は歴史ものということになると思うのですが、原作の三田紀房とはお話をされたんですか。

ええ、こちらがビックリするほど喜んでくれたので、よかったなと思っています。

――次は「ドラゴン桜」や「インベスターZ」の劇場版を作ってくれと言われたりはしなかったんですか。

それだとCGがほぼないですからね(笑)。チームを食わしていかないといけないんで。CGを使わなくてもいいと思うくらい好きな原作なり、自分で思いついた物語があればいいんですけど、やっぱりVFXも好きなんで。それがないと、自分の自慢の武器が使えないという感じはありますよね。

キラキラ青春ものはVFXの使い方がわからない(笑)

――今回も冒頭の戦艦大和の戦闘シーンはものすごい迫力でしたからね。

今回は本当に、冒頭の戦艦大和のシーンがなかったら、あやうくVFXを使わない映画になったところでした。基本は会議が中心となる映画なので。ただVFXのカット数は、いつもは400とか500くらいなんですが、今回は200カットくらい。近年、僕がやった映画の中では少ないほうだと思います。しかし、そうとは思えないくらい、とくに頭の100カットは本当に大変な作業でしたね。

――『ルパン三世 THE FIRST』は年末に公開予定となっていますが、今後はどんな作品を手がけたいという構想はありますか。

あまり似たジャンルばかりをやりすぎると、つまらなくなってしまうのではないかという気がしていて。できるだけいろんなジャンルにチャレンジしたいなと思っています。

――キラキラの青春ものとかもいかがですか。

1回やってみたいんですが、VFXの使い方がわからないんですよね(笑)。使う予算に見合ったものということになるんで、そうすると、リクープ(回収)のハードルが上がってしまいます。そうすると大変かなと思っています。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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