――今年は年間で3本の映画が公開されることになったわけですが、2020年はオリンピックの開会式、閉会式の演出もあります。もっと忙しくなるのではないでしょうか。
3本公開したというのは特別な例です。別々のタイミングでスタートしたものが、なぜか全部、仕上がりが今年になってしまいました。だから、ここからまたいくつかの仕込みの作業も始まります。確かに来年のほうが忙しいかもしれない。ただ、オリンピックがどれくらい大変なのかがわかっていないんで、未知の領域です。そんな中、来年公開予定の作品も待機しています。自分でも何をしているんだろうと思いますよ(笑)。
――オープニングが戦艦大和の戦闘シーンで。今までに観たことがないような迫力の映像でした。日本映画でもいろんなものが表現できる時代が来たんだなと思ったのですが、表現をするうえで、自分の中に制約をかけるということは少なくなってきたのでしょうか。
確かに表現をするうえで、リミッターをかけることなくできるようになってきました。
今までは予算的にも技術的にもできないことがありました。例えば、満足できるような航跡を撮りたいと思ったら、以前なら実写の船をヘリコプターで撮影するくらいしかできなかった。しかし、それでは、そのヘリコプターから撮ったカメラワークに準じた画しか作れませんでした。でも今回、海の航跡もCGで表現できるようになり、カメラアングルも自由になった。そういう意味でリミッターを外すことができるようになったんです。
CGが進化、斬新なビジュアルでしか優位性を保てない
――何でも見せられるようになったと。
逆にいうと、何でも見せられるようになってきたので、斬新なビジュアルを見せることしか、優位性を保つことができなくなってきました。
今までと同じようなものを見せていたのでは、単に、画像がクリアになって、実写っぽくなったね程度で終わってしまう。過去の戦艦大和の映画をいろいろとチェックしたのですが、戦艦が沈むところも、今までなら傾いただけで大爆発して沈む、という描写でしたからね。
――確かにその印象があります。
でも本当は、横転して、真っ逆さまになって。その後に大爆発したというのが、歴史的事実として残されています。
今まで戦艦大和の映画を作ってきた人ってものすごい苦労をしてきたんです。実写の制限の中でミニチュアを作ったり、実物大セットを作ったりしながら、やれることをやってきました。
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