「口の乾き」が招く健康被害を侮ってはいけない よくかんだり話したりしないと「唾液」が減る

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「反射の衰えの問題でしょ? だったら、唾液の減少は関係ないのでは?」と思った方、残念ながら、それは違います。抗菌機能のある唾液が減少していると、口の中で細菌が増えて、誤えん性肺炎になったときに、肺炎を悪化させてしまうリスクが高まるからです。 

よくかんだり話したりせずに、口を使わないでいると、唾液が減ります。唾液の減少は、むし歯や口臭だけではなく、ダイレクトに命の危険に関係してくる問題なのです。欧米の調査では、人口の約4人に1人はドライマウスと言われています。日本でも、シニア層を中心に多くの方が口の乾きに悩んでいますし、今は大丈夫な方でも、いつドライマウスになるかわかりません。

万病と突然死を防ぐ、唾液うるうるエクササイズ

そうご理解いただいたところで、口腔外科医の視点から、唾液がうるうるになるエクササイズの1つをここでご紹介しましょう。ただし、「一度やったらよい」というわけではなく、このエクササイズを日々継続することが大事です。食事の前などに、ぜひ行ってみてください。テレビを見ながらなど、空き時間に「ながら」ででも簡単にできるので、ぜひ続けてみてください。顔のたるみや美容にも効果的です。 

大だ液腺クルクルマッサージ 

食事の前に、だ液をつくる大だ液腺を刺激しましょう。両耳の前と両顎の下にだ液をつくる組織があります。それが大だ液腺です。そこを皮膚の上からマッサージするように、優しくクルクルと指を動かします。

1) 耳の前をクルクル。
2) 頰の下辺りをクルクル。
3) 顎の下のラインに沿ってクルクル。 

何かを食べる前に、上記を1セット行う習慣をつけてみてください。食事の前に消化や飲食を助ける唾液を増やすことで、よりおいしく食べることができるようになります。間違って首をゴリゴリ押してしまうと、反射が起こって、意識が遠くなることもあるので注意しましょう。

そんなことをしなくても、唾液の出る薬を使えば、確かに症状は楽になります。しかし、口の中だけで対応しようしてもダメなのです。唾液が減って口が乾いている方は、何かの病気やストレスなど、複数の健康上の問題を抱えていることが多いからです。

口の乾きと、どの要因とがはっきりとした因果関係にあるのか、現時点で判断するのは難しい……そんなときは、どうしたらいいのか? すぐ簡単にできて、唾液が増えるいちばん簡単な方法ってなんだろう?  次に、私が考えた、とっておきの方法をご紹介します。

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