「野球とタバコ」の断ち切れない悩ましい関係 変革が必要だが旧態依然としたままだ

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筆者は高校野球の監督に話を聞くこともあるが、取材に赴くと監督が応接室の窓からグラウンドへ向かって「おい、タバコ」と叫ぶのをしばしば目にする。その声を聞いて、グラウンドで声を出している控え選手が慌てて部室に駆け込んで、灰皿とタバコ、ライターを持って応接室に持ってくるのだ。見慣れた風景だ。最近は「吸っていいかね」という人が増えたのが変化といえば変化か。

タバコと日本野球は、かくも親和性が高いのだ。もちろん、未成年者の喫煙は法律で禁止されており、今の高校野球部の選手は一切喫煙してはならない。それでも喫煙が発覚した球児たちが、学生野球協会の対外試合禁止や謹慎処分となるニュースも散見される。

昔の時代の指導者は「ばれないように吸え」ということもあった。SNS全盛の昨今では、どこで誰が見ているかもわからない。今は「絶対吸うな」と指導者たちは言っている。

指導者や親たちが喫煙者だったら

しかしながら、指導者のかなりが愛煙家なのだ。そして、ほとんどが選手の前でもタバコを吸う。日本の高校野球は長時間練習をするから、愛煙家の監督は我慢することができない。そういう指導者も「タバコを吸うな」とは言うが、切っ先が鈍るのは仕方がないところだ。

また、高校球児の親たちの喫煙率も決して低くはない。少年硬式野球では、練習グラウンドの整備を保護者がやることが多い。グラウンドをならしたり、ラインを引いたりした親は、子どもたちの練習が始まると球場裏で待機するが、集まって喫煙しているのをよく見かける。

父親だけでなく母親の喫煙率もかなり高い。冬場などは一斗缶でたき火をして、それを囲んでお父さん、お母さんが紫煙をくゆらせるのだ。こういう家では子どもたちに「タバコを吸うな」と言っているのかどうか。

そして、父母や指導者がタバコを吸いながら子どものサポートをする光景を目にするだけで「わが子に野球をやらせるのはやめよう」と思う親が少なからず存在する。

次ページ喫煙か禁煙かを踏み絵にして済む話ではない
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