「野球とタバコ」の断ち切れない悩ましい関係 変革が必要だが旧態依然としたままだ

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平成になってから「禁煙」が社会の常識になるとともに日本人の「喫煙」に対する受容度、許容度は急速に小さくなっていく。

1989(平成元)年の全世代の喫煙率は、JT全国喫煙者率調査では男子61.1%、女子12.7%だったが、2018(平成30)年には男子27.8%、女子8.7%だ。

あれほどタバコの煙に燻されながら仕事をした筆者も、最近は、タバコの煙がふっとでも鼻をかすめると、そちらの方へ目が行くようになった。また、タバコの煙が鼻に入ると頭痛がするようになった。言い方を変えれば体が「タバコへの耐性」を喪失したと言えそうだ。

いまだにタバコを吸う野球選手たち

今では野球場も指定の喫煙場所を除いて全面禁煙になった。東京ドームでは建物の外側にビニールの幕で覆った喫煙所が設けられている。愛煙家はここで肩身が狭そうに、タバコを吸っている。スタンドで観戦していると敵の攻撃になると席を立って、しばらくすると香ばしい匂いをまとわりつかせて席に戻ってくるおじさんをたくさん見かける。

しかしながらスタジアム、とくにダッグアウトの上辺りにいると、ごくたまに頭痛がすることがある。またかすかに匂いが漂ってくることがある。これは、球場のベンチ裏にある「喫煙室」の煙が、どこかの隙間を通って漂っているのだ。

今年、巨人の監督に復帰した原辰徳は、就任会見で主砲の岡本和真に話が及ぶと「まず、タバコをやめるべきだろうね」といった。これは少なからぬ衝撃を与えた。世間には「まだ吸ってるのか!」と驚いた人がかなりいたはずだ。

日本のプロ野球選手の多くは、今も「愛煙家」だ。だから日本のプロ野球の本拠地球場のベンチ裏には「喫煙室」があるのだ。そしてほとんどの場合、喫煙習慣は、アマチュア野球の時代に身についたものだ。春先に前年高卒で入団した新人選手が「喫煙」で謹慎させられることがよくあるのは、それを物語っている。

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