●家庭がお父さんの活躍の場に。
父親の変遷を探る上で、時代の流行語を重ね合わせてみると、父親の姿が浮かび上がってくる。
1972年の流行語は「ワーカホリック」。住宅が郊外へと広がり始め、通勤時間が長くなることで、結果として家で過ごす時間が減少。父親は仕事が人格となることで、父親の威厳も成立していた。86年は「亭主元気で留守がいい」。妻が夫を揶揄する言葉として流行した。女性の社会進出が進み、家庭においても女性の地位向上が進み、相対的に父親の立場も低下していった。
バブル絶頂期、89年には「24時間戦えますか」に象徴されていた、仕事バリバリのお父さん像は、93年の「リストラ」で一挙に崩壊し、多くの会社員が人員削減や減俸などの憂き目にあうことになる。社会的にも漠然とした不安感が高まる中で、活躍の場を家庭の中に見出し始める。
96年は「夫婦別姓」。夫婦共働きも増え、父親も徐々に家事や育児に関わることを求められ、家事の分担意識が徐々に広がっていく。2001年は「明日があるさ」。ヒット曲のカバーとしてCMに登場。仕事に孤軍奮闘しながらも、あくまでも足元の家族に軸足を置いた父親の心情が描かれている。
そして、2005年の「クールビズ」。地球環境問題以上に、「ビジネスカジュアル」というお父さんのファッション意識に大きな影響を与えた。「ちょいワルおやじ」と呼ばれるトレンドセッターも出現し、景気が回復傾向にあると言われる中で、局所的ではあるものの父親の消費も注目されはじめた。
●頑固親父から、やさしいパパへと変化。
家庭の中での父親の立ち位置の変化と同様に、父親像も大きく変化している。20~30年前と今の父親イメージの比較によると、昔の父親は、頑固で怖い、大黒柱で頼りがいがあり、仕事を優先するというイメージに対し、今の父親は、やさしく、自分の時間も大切にし、おしゃれにも気を遣っているなど、自分像を持った存在へと大きく変わっている。一方で、ストレスが多い、妻の方が強い、子どもとも対等など、家庭内での役割や立場は窮屈なものになっているようである。
第4回では、いまどきの父親達の実態に迫る。
家庭の中の「父親」に焦点を当て、その実態や欲求などを分析。2007年の創刊号では父親の中でも、特に子どもとの関係が微妙に変化しはじめる「小学生の子どもを持つお父さん」に焦点を絞り、独自調査をもとに時代・世代・加齢の3つの観点、本人・妻・子どもの3つのアングルから「お父さん」像を分析。分析に当たっては絵や写真などを活用することで家族と父親の関係や心理を視覚化するという方法をとると共に、お父さんの「消費を喚起するドライバー」を探り当てることで、実際のビジネスへの活用を意識している。
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