トランプに学ぶ「意識低い系」マーケティング 挑戦的な言葉遣いは「あえて」やっている?
大阪市で開催されたG20の帰路、6月30日にアメリカのドナルド・トランプ大統領は板門店にて北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と電撃会談を行った。トランプのツイッターに金正恩が応えて板門店まで出向き、アドリブ的にアメリカ大統領として初めて北朝鮮側に足を踏み入れる歴史的瞬間となり、世界を驚かせた。
「近所まで来たのでごあいさつさせてください」は、まさに不動産屋のビジネストークであり、「せっかくだから家に上がってもいいかな」は、ナンパ師のようでもある。実に軽い。この会談は、事前にセッティングされていたとも言われているが、そうだとしても世界を驚かせる演出としては成功したと言えるだろう。
トランプと金正恩(北朝鮮)は似たもの同士かもしれない。相手を口汚く罵っていたかと思えば、いきなり仲良しのようになる。子どもじみたうえにプロレス的だ。事実ではないことを自信たっぷりに語るのも、両者に共通している。
独裁者である金正恩は、どういった態度をとろうが国内での立場は揺るがないが、選挙で選ばれる大統領の場合は批判され失脚する可能性がある。それどころか、トランプは以前からこうした意識の低さを批判されていた。
しかし、多くのインテリ層の予想や嫌悪感に反して、トランプは大統領に選ばれた。そして、今のところ大きな失点もなく執務をこなしているように見える。トランプの強さは、彼の「意識の低さ」によるものだ。
意識低い系マーケティングとは
まず、「意識が高い」とは何か。一般的には、知識がある、論理的である、高い理想を持っている、他者や社会について考えるといった特性を言う。いわゆる「立派な人」に備わっているものだ。
逆に、「意識が低い」とは、知識がなく、論理より感情、目先や自分の欲望を優先するような特性を言う。トランプがどちらに分類されるかは言うまでもないだろう。なにせ、ポルノ女優との不倫を金で口封じしようとするぐらいだから、わかりやすく意識が低い。