クールビズの「作法」意外と知らない各社事情 TPOに応じてネクタイやジャケットの着用も

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ここまでは、大企業の主にスタッフ部門の例を紹介したが、中小企業の工場や現場作業の多い業種はどうしているのか。ここでは2社の事例を紹介しよう。

いわゆる町工場だが、プレス金型などの技術に定評があり、ユニークな商品開発でも知られるニットー(本社・神奈川県横浜市、従業員50人)。本社は、横浜ベイサイドマリーナに近く、中小の工場が立ち並ぶ場所にある。社長の藤澤秀行さんはこう説明する。

「工場で働く従業員には、会社が襟付きの作業服のほか、ドライメッシュTシャツも支給しています。基本的にはこの服を着ることになっています。一方、事務員については、こうした作業服のほか、ワイシャツやポロシャツ姿もよいとしています。

女性事務員はベストとパンツ、もしくはスカートを着用します。男女ともに、靴の規定はありませんが、工場を歩く場合もあるので、安全で歩きやすい靴としています」(藤澤さん)

取引先に行く場合はどうしているのか。

「相手先が工場の場合も多く、基本は作業服もしくはワイシャツでノーネクタイです。自動車部品などの機械業界ではクールビズが浸透していて、ジャケットやネクタイ姿で行くと、逆に『やめてくださいよ』と言われるほど。医療業界(病院や医療商社)へ行くときも、基本はノーネクタイですが、場合によってネクタイ、ジャケットを着ます」(同)

一般に「堅いといわれる業種」に行く際は、どの会社も気を使っているようだ。

得意先の現場支援でも、作業服は便利

「当社の場合、夏場は、社名入りの半袖ブルゾンを運転手や作業員全員に貸与し、着用を義務づけています。社長の私、弟の専務も同じです」

こう説明するのは鳥波運送(とばうんそう、本社・茨城県古河市、従業員15人)社長の鳥波孝之さん。茨城県内や近県への、乳製品や飲料配送を得意とする会社だ。業務の特性もある。

「運送業として、取引先に荷物の集荷・配達をするほか、時には現場作業も担います。先方の工場構内は、機械設備など突起物が多く、乳製品の保存に適した『庫内温度4℃前後の冷蔵倉庫内』で作業する場合は、長袖のブルゾンを着用する場合もあります」(同)

鳥波さんは、作業服姿のこんな効果も話す。

「出向く先が、食品や飲料メーカーの工場が多いので、先方の役職者も作業服姿が多い。そのまま工場の敷地内を歩いたり、製造ラインに行く場合もあったりするので、社名の入ったブルゾンは、心理的にも調和しやすいのではないでしょうか。時には、そのまま作業を手伝うこともありますから」

製造作業の支援は、契約で「商品の選別業務」などを請け負っている場合だという。

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