クールビズの「作法」意外と知らない各社事情 TPOに応じてネクタイやジャケットの着用も
もう少し細部までルールを決めた会社もある。グループ傘下に「ロイヤルホスト」や「シズラー」などのレストラン(飲食業)、ビジネスホテルの「リッチモンドホテル」(宿泊業)があるロイヤルホールディングス(ロイヤルHD、上場企業)だ。同社経営企画部コーポレートコミュニケーション担当部長の吉田弘美さんは、次のように説明する。
「当社では、男性は『襟付シャツを着る』というルールがあります。事務職など内勤の場合、ポロシャツの着用もでき、またシャツをパンツアウトで着ることも可能ですが、その前提でデザインされたものに限る、としています。一方、営業職やお客様に会う可能性がある場合は、ビジネスシャツで必ず肌着着用、パンツアウトは不可としています」
夏場に男性社員がネクタイをつける場合はあるのだろうか。
「例えば、経営幹部や部長クラスが社外で講演をする場合や、秋以降に掲載予定のメディア取材を受ける場合はネクタイの着用もあります。また幹部社員以外でも、お客様にお詫びに伺う際にはネクタイをつけています」(吉田さん)
筆者が仕事をするメディア業界でも、例えば「出版社の編集者がネクタイ姿の日はお詫びのとき」と言われるが、男性の場合「相手先へのお詫び=ネクタイ着用」という意識は共通のようだ。
内勤の女性も「露出の多い服装」はNG
男性に比べて服装の選択肢が多い、女性の場合はどうだろう。近年は重要な職務を担う女性が増えた。カバンメーカーへの取材では「プレゼンテーションの場にも持参できるカバンが欲しい」という女性の声に応えて、新商品を開発した例も聞いた。
「お客様と会う可能性がある業務では、ジャケットなしの場合、襟つきのシャツかブラウス、ジャケット着用時は襟なしでも可としています。靴はパンプスと限定していませんが、ビジネススタイルとしてふさわしいものを使用するとしています」(ロイヤルHD)
ロイヤルHDでは、内勤時の女性の服装は、さらにこんな取り決めをしている。
「襟のないトップス、ワンピースもカジュアルすぎなければ可としており、色柄などはビジネスにふさわしいものとしています。Tシャツや露出の多いカットソー、タンクトップ、キャミソールは不可です。
パンツは少し短い7、8分丈も可。デニムはダメージ処理されていないオーソドックスなものに限ってはけます。ただし短すぎるスカートやパンツはNG。また、靴はミュールやビーチサンダルのような、かかとが浮くタイプはダメです」
「男女の性別は分けておらず、基本原則を基準にしている」というアサヒGも、「露出の激しいスタイルや、ビジネスに適さないルーズな服装や、派手な服装(靴)、クロックスのような合成樹脂のサンダル、ヒールストラップのないサンダルなどについては、NGのガイドとして提示している」との答えだった。
以前、別の機会に取材した際は、ある会社から「その格好は『オンビジネスか・オフビジネスか』という目線で判断する」という話も聞いた。この視点は変わらないようだ。
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