小泉進次郎という政治家を徹底分析してみる

この10年の活動や成果を総括して見えた課題

この「農林中金解体論」は、さすがに強引で、無理筋だったのか、小泉さんの認識不足が次々に指摘されると、一気にトーンダウンしていきます。

3点目は、流通・加工の構造改革です。小泉さんが強調したのは、市場価格の乱高下に振り回されないよう「定価販売」できる商品をつくることでした。農家は農作物の生産だけでなく、食品加工や流通販売も行うことで、経営体力を強化することができます。ここにも農家に対して経営者になるよう促す姿勢が反映されています。

このような農協改革は、最終的にJA全農(全国農業協同組合連合会)の株式会社化の推進へと収斂していきます。しかし、JA全農は、これを断固拒否。対立が先鋭化します。

JA全農は「自己改革案」を提示し、資材調達に競争入札などを取り入れるスキームの構築や直販を拡大するスキームを提示しますが、これは改革ポーズをとっているだけのアリバイづくりと言われ、小泉さんの改革案を骨抜きにするものでした。

結果、小泉さんは具体的な成果をほとんど上げることができず、2017年8月に部会長を退任します。農業ジャーナリストの土門剛さんは「『ヘマ』の連続」と酷評し、農協を悪者に仕立て上げたことで、改革が頓挫した点を厳しく批判しています(土門剛「農林部会長としては未熟 小泉進次郎『対全農戦争』で敗れた真相」『THEMIS』2017年2月号)。

小泉さんの農業の構造改革は、最終的に党内をまとめることができず、大きな挫折を味わうことになりました。

「アベノミクスは時間稼ぎにすぎない」

小泉さんが農政改革と並行して挑んだのが、社会保障改革でした。

彼は2014年の時点で「アベノミクスは時間稼ぎにすぎません」と明言し、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後に、さまざまな問題が日本に襲いかかってくると述べています。ポイントは人口減少と社会保障の問題。このままでは、財政が行き詰まり、福祉政策が立ちゆかなくなってしまうと危機感を表明しています(瀧本哲史、小泉進次郎「東大生を前に瀧本哲史と語った日本の最優先課題 白熱90分! 小泉進次郎」『プレジデント』2014年6月16日号)。

問題は2016年参議院選挙前(2015年12月)に起こりました。

このとき、安倍政権が補正予算を組み、低所得の高齢者向けに3万円の給付金を配ることを決めました。財務省は子育て支援についてこれまで「財源がない」と言い続けてきたにもかかわらず、高齢者には3620億円もの高額の予算があっさり計上されました。野党は「選挙対策のばらまき」と反発しますが、小泉さんもこれに同調し、「次世代に向けた社会保障」になっていないと安倍内閣を批判しました。

当時の政調会長は稲田朋美さん。彼女は小泉さんに対して、補正予算を実施する代わりに、党内で次世代の社会保障のあり方を検討する場を設けることを提案し、「2020年以降の経済財政構想小委員会」が立ち上がります。小泉さんは事務局長に就任し、社会保障問題に取り組むことになりました。

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