小泉進次郎という政治家を徹底分析してみる

この10年の活動や成果を総括して見えた課題

ここで小泉さんは「自助」の限界にぶつかります。

「共働き世帯が増え、地域社会の絆が希薄になるなかで、子育てを親と家族の自助だけに委ねるのはもはや限界です」。結局、自助にも共助に頼ることが難しい。親・家族・コミュニティだけでは、子育てを担うことができない。だったら「社会全体で温かく子育てを支えていかなければならない」。「公助」によって、子育て支援をしなければならない。そう主張します(田村憲久、木原誠二、小泉進次郎「『こども保険』が必要だ:教育国債はありえない、消費税では遅すぎる」『文藝春秋』2017年7月号)。

これに対しては、小泉内閣・第一次安倍内閣のブレーンでもあった経済学者・高橋洋一さんが財政再建を優先しようとする財務省の策略にはまっていると批判しています。

高橋さんは、「こども保険」を「偽装増税」と批判し、「教育国債」を阻止したい財務省の思惑が働いていると警告します。

「子育て支援について税金を財源にしたいが、税金では世間の反発があるので、保険料に名前を変えて国民から徴収することがバレバレになってしまう。保険の名称にしたのは、日本人の保険好きを悪用したのだろう」。「財務省としては『教育国債』を『こども保険』で相打ちにして、自民党を『増税』に持っていきたいのだろう」(高橋洋一「財務省が小泉進次郎を使い『偽装増税』を仕掛けた 自民党若手議員の『こども保険』提言には巧妙なトリックが」『THEMIS』2017年5月号)。

小泉さんは、価値の問題についてはどのような傾向性を持っているのでしょうか。彼の特徴は、歴史認識や選択的夫婦別姓問題などについて、極力、明言を避けている点です。

リスクの個人化に軸足を置き格差・貧困を是正

2014年、2017年の衆議院選挙の際に実施された「朝日・東大谷口研究室共同調査」では、無回答。管見の限り、雑誌インタビューなどでも、ほとんど言及がなく、語っていても極めて限定的で立場を鮮明にしていません。

靖国神社には毎年8月15日に参拝していますが、その理由についても突っ込んだ言及はありません。

小泉さんの関心は、もっぱら社会保障や農政の構造改革に向けられており、価値の問題に積極的な関心を示していません。首相候補としての歩みを進めるのであれば、スタンスをそろそろ明確にすべき時期でしょう。

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