小泉進次郎は「老後2000万円問題」をどうみたか 人生100年時代の年金を考えるチャンスだ
人生100年時代の意味が改めて問われている
――4月下旬、自民党政務調査会の厚生労働部会は「新時代の社会保障改革ビジョン」を発表しました。
3年前、党内の若手議員が集まって将来へのメッセージ(2020年以降の経済財政構想小委員会による社会保障の将来像「レールからの解放」)を発表したのが、すべての始まりだ。
これをベースにその後、私が(自民党の)厚生労働部会長になり、社会保障制度調査会の鴨下一郎会長や田村憲久元厚生労働相も一緒になって今回の社会保障改革ビジョンを作り上げた。自民党の正式な政策決定機関の承認を経て、6月中旬に発表された政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2019」にも盛り込まれた。
――着実に進めてきた、と。
この3年間でステージが変わった。ただその原点は、当時誰も言っていなかった「人生100年時代」に対する備えであることは一貫している。そして最近の年金をめぐる騒動を見れば、人生100年時代とはどういうことなのかを改めて問われていると思う。
――金融庁の有識者会議が「公的年金だけでは老後に2000万円足りない」という報告書を公表し、大きな批判を浴びました。
「災い転じて福となす」にしなければいけない。報道を見ていると、そもそもいまの年金制度がどうなっているかを説明していない。まず、その話からしてみませんか、と言いたい。
私は講演会でよく年金の話をする。「いまの年金は、60歳から70歳の間で受給開始年齢を選べる制度ですが、皆さん、知っていますか」と問うと、手を挙げる人は半分以下だ。さらに「60歳で受け取り始めると、標準の65歳受給開始時より年金額は3割カット、逆に70歳まで受給を繰り下げると42%アップします」と話すと、それを知っているのはさらにその半分以下、ひどいときはゼロだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら