小泉進次郎は「老後2000万円問題」をどうみたか 人生100年時代の年金を考えるチャンスだ

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――繰り下げ受給を知っているか否かで、金融庁の報告書に対する国民の受け止め方も違ったでしょうね。

私は厚労部会長として厚労省には「制度を作ったら終わり、ではない」と言っている。制度を商品だと思って売ることが必要だと。そのためにはまず、制度のユーザーである国民の皆さんに商品を知ってもらう必要がある。そして初めて、その制度は国民の選択肢として大きな力に変わる。

手始めとして今春、年金保険加入者に年1回送られる「ねんきん定期便」を改定し、繰り下げ受給の説明を入れた。人生100年時代には、国は国民1人ひとりの多様な生き方、働き方の選択肢を用意していくということを伝えたかった。

人生100年時代の年金改革を伝えるチャンス

――骨太の方針では、ほかにも多様な選択肢を用意する年金改革案が採用され、法改正につながっていく見通しです。

こいずみ・しんじろう/1981年生まれ、横須賀市出身。関東学院大卒業後、アメリカ・コロンビア大学にて政治学修士号を取得。戦略国際問題研究所(CSIS)研究員を経て、2009年から衆院議員を務める(撮影:尾形文繁)

その1つとして、(時短や副業などの働き方を関わらずに充実した社会保障制度への加入を目指す)「勤労者皆社会保険」はすでに昨年の骨太方針に入っている。繰り下げ受給の年齢は70歳以降でも選べるようにすべきと訴えてきたが、これも今年の骨太方針に入った。

働いて得た所得が一定以上あると年金がカットされる「在職老齢年金制度」についても、働く意欲を阻害するため縮小・廃止する方向だ。人生100年時代はより長く活躍できるわけだから、それを応援する制度にする必要がある。

人生100年を生きても大丈夫だということを知ってもらいたい。長生きをリスクにしないという考え方をもとに、国がどんな改革を進めようとしているのか。今回の年金炎上はむしろこの話をするチャンスになる。

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