小泉進次郎という政治家を徹底分析してみる この10年の活動や成果を総括して見えた課題

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小泉さんは、社会保障をめぐる財政の厳しさを強調します。年金や医療の保険料を負担する現役世代が減少する一方、高齢者が増加することで支払額が膨張。近年は団塊の世代が65歳を超え、医療費の拡大ベースが上昇しており、財政は厳しくなるばかりです。

今の社会保障は「『全世代型』社会保障になっていない」と語る小泉氏(撮影:梅谷秀司)

この現象は、若年層ほど支払い損となり、世代間格差が拡大することにつながります。若者は割を食い、現役世代が搾取される形になります。そうなると、当然、若年層の未払いが増加し、将来の年金の支払いのために貯めた積立金の取り崩しが避けられない状況に陥ります。

小泉さんは現在を「株式会社日本の第二創業期」と位置づけ、認識の転換を迫ります。とにかく、今の社会保障は「『全世代型』社会保障になっていない」。

「あまりにも高齢者を優遇しすぎている」ため、「若い世代が受益者になっていない。子育て支援などにお金が回らず、少子化がますます進んでしまう。これではいけない」(小泉進次郎、小林史明、村井英樹「小泉進次郎氏ら自民党・若手議員が激論 高齢者優遇の是正へ、社会の『原則』を変える」『日経ビジネス』2017年5月1日号)。

小泉さんは、「15歳から64歳までを現役世代と見なすのをやめる」ことを提案します。

65歳以上としていた高齢者の定義を改め、現役世代の上限を引き上げることで、収入のある年配層に負担してもらう。そんな訴えを行いました。

「人生100年時代の社会保障へ」

そこで、小委員会によってまとめられたのが「人生100年時代の社会保障へ」という提言でした。ここでは主に3つのポイントが示されています。

第1が「勤労者皆社会保険制度」の導入。正規・非正規にかかわらず、企業で働くすべての労働者が社会保険に加入できるようにするというものです。

第2は「人生100年型年金」。年金支給開始年齢を柔軟に選択できるようにし、働いている間は保険料を納入する。70歳を超えて働ける人は、支給を遅らせることが可能となるとしています。

第3は「健康ゴールド免許」の導入。健康管理・維持に努めた人の保険料負担を軽減することで、医療費を削減しようとするものです。

これに加えて、2017年3月には「こども保険」の導入が提案されました。企業と勤労者から集める社会保険料を0.1~0.5%上乗せし、これを財源として現行の児童手当に月額5000~2万5000円増額して支給するというものです。

これによって幼児教育・保育の実質無償化を図ることが目的だったのですが、一方で自民党は、同時に「教育国債」発行を検討するプロジェクトチームを設置し、「こども保険」と並行して議論が進むことになりました。

小泉さんは「教育国債」に強く反発します。国債は恒久財源ではない。これ以上、国債を増やすわけにはいかない。財政再建を進めなければならない。

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