それ以上に「見ず知らずの他人と会う」という意識が、まったくなかったのかもしれません。面識がなくても相手のプロフィールページを見れば、人となりがわかります。「つぶやき」や「日記」、そこで交わされる友人とのやり取りから伝わってくるからです。
それらを見て、「私も同じこと感じてたのよ~」と親しみを覚えたのかもしれません。また共通する趣味、しかもオタクな趣味のコミュニティのメンバーなので、仲間意識さえ芽生えていたことも考えられます。
結婚相談所との違い
このように、SNSは見知らぬ男女を結び付けて、親密な関係を醸成する強烈なパワーがあります。その原動力となるのが“共感” です。「私もそれが好き」「私も感動した」「それ面白いよね」―― こうした「共感」を交換し合える場がSNSにはあります。具体的には、「つぶやき」や「日記」「コミュニティ」のコメント機能です。
また、これら(つぶやき・日記・コミュニティ)は、各自のプロフィールページに集約されて表示されるので、「価値観」「ライフスタイル」「友人関係」などの切り口で、人となりを立体的に発信する仕掛けにもなっているのです。
ここに時間的な要素が加わります。SNSユーザーは1日平均78分利用しているというデーターがあります。つまり「共感」と「時間」のかけ算で、じわりじわりと親密感が増していくというわけです。
そのうえ、メッセージ機能もあるので1対1の関係も発展させやすい。だから、K嬢のケースのように、「一緒に行きませんか?」とお誘いもできるのです。
このように、SNSは「共感」という内面的な要素に焦点を当て、自然な形で関係を昇華させる出会いの場です。その真逆が婚活と言えるでしょう。年収・年齢・学歴など「条件」という外面的な要素に焦点をあて、シビアに選別し合う出会いの場。しかも、お見合いパーティの「回転寿し」に代表されるように、システムがあまりにも不自然……。
だから、行き詰まるのです。出会い→恋愛→結婚とスムースに関係が発展しづらいのです。前回の記事で書きましたが、婚活業界のメインプレーヤー「結婚相談所」の成婚率がわずか10%しかないのはそうした理由からでしょう。
利用者が数千万人。今や生活の一部となった巨大コミュニケーションインフラSNS。これこそが日本が抱える大問題「未婚率の増加」、それに続く「少子化」を解消する底知れぬポテンシャルを持っているのだ、と思うのは私だけでしょうか。
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