いわく、「インターネットと携帯の普及は高齢者のライフスタイルを大きく変えた。使っている人と使わない人との格差は大きい。出会いを求めている人で、これらを所持していない人は「負け組」の烙印を押しても差し支えないだろう」(文春新書『アンチエイジングSEX その傾向と対策』小林照幸著より)。
そして、この本の中では実例がわんさか出てきます。たとえば、「離婚してからネットで知り合った友(74歳)」「相手は21歳年下。出会い系サイト(62歳)」「同じ年。シニアサイト(68歳)」などなど。
年を重ねると、連れ合いと死別したり、友人が次々と亡くなったりと、孤独になりがち。新たにパートナーを得れば、再び生きる活力や喜びを感じることができる。だから高齢化社会において、ネットでの出会いは「怪しい」どころか、すごく意義深いことであると言えましょう。
(もうひとつ実例を……)冒頭で「しみじみ納得した」というのは、私の知り合いにひとりいるからです。インターネットを通じて、マーガレットやキャサリンといった海外の女性と知り合いになったご高齢の強者が。
出会いはネットが一番多い
その男性は昭和ヒトケタ生まれの80代。退職後の60代後半から始めたインターネットにどっぷりハマりました。何をしたかというと、ある歌人の俳句を英訳。その俳句の情景をパソコンソフトで作画して、あるネット上に公開したのです。
「あるネット」とは俳句ファンが世界中から集まる交流サイト。そこでマーガレットやキャサリンと知り合って、彼女たちが来日すると俳人ゆかりの場所に案内したりして、国際交流に励むという具合です。ただし、それ以上の艶やかな話はないようですが(苦笑)。
ここで申し上げたいのは、マスメディアはインターネットでの出会いに関して負の側面ばかり強調します。しかしそればかりではなく、人生が豊かになるような出会いも確かにあるということです。
実際のところ、ある調査によると、30代の男女が結婚相手と知り合った場所は、身の回りから生まれる出会い(=職場・友人の紹介・学校)を除くと、インターネットが最も多いことが明らかになっています(明治安田生活福祉研究所「結婚・出産に関する調査」2013年)。
このように、現代ニッポンにおいて、インターネットは仕事に限らず、非常にパーソナルな人間関係のあり方まで多大な影響を及ぼしているということを、皆さんにも知っていただきたいと思います。
さて、ここで大きな疑問が湧くことでしょう。「なぜ、インターネットの出会いが増えているのか?」ということに。
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