「教育虐待」に気づかない教育熱心な親たちの闇

親から子への「ソフトコントロール」にご用心

18歳や15歳の子どもなら、親から厳しい言葉を浴びせられても、ある程度なら「うるせーな」と聞き流すことができるが、12歳は、親の言うことを小さな身体と心で100%受け止めて、もろに傷ついてしまうからだ。

中学受験の難しさは、12歳という微妙な年齢にある。大人の言うことを100%理解しているので、つい大人に対するのと同じように理詰めで責めたり、強い言葉でハッパをかけたりしてしまうが、実は精神的にはまだまだ幼く傷つきやすい年ごろなのである。

迷うことなく子どもに接しないでほしい

変化の激しい時代である。わが子の将来を思えば不安になるのが親の性。不安であるがゆえに迷いも大きい。しかし「それでいい」のだと、私が尊敬するあるベテラン教師は言う。

「むしろ迷いなくやってしまうことのほうが恐ろしい。迷いがないってことは『これが正解!』って思い込んでいるってことだから。その方法が子どもに合っていなくても、子どもを見ずに迷いなくガシガシやらせてしまうから、子どもは簡単に壊れてしまう。子どもの教育は迷わないでやらないでほしい」

言われてみれば確かにそうだ。ひどい教育虐待をしてしまう親に共通しているのは、”迷いがない”ことなのだ。

先日、中学受験生の母親からこんなことを言われた。

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「世間の中学受験本に書かれているように『あれもしなさい、これもしなさい』と言われるのも親としてつらい。しかしおおたさんのように『親がそんなにムキにならなくてもいい』と言われてしまうのも耳が痛い」

私も痛いところを突かれた。「子どもにダメ出しをしないでください!」と親にダメ出しをしてしまう自分がいるわけである。申し訳ない。が、それを棚に上げて言うのであれば、その母親は中学受験生の母親のスタンスとして至極まっとう、大丈夫というわけだ。

子育てで迷わない親などいない。大いに迷えばいい。迷うくらいでちょうどいい。それでも結局のところ、子どもはまっとうに育つ。親がよほど余計なことをしなければ。それが、死の淵から生還した数々の親子の話を聞いたあとの私の率直な結論である。

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