言い換えれば、中間管理職の肥大化を抑えて、若手社員中心で組織を運営したいという意図があるのだろう。Aさんも、残っている50代社員の中で管理職的な仕事に携わっている社員は少ないと話していた。また、社長も40代で誕生するという。結果として、働かないオジサンは生まれえないわけだ。
会社員人生には、前半戦と後半戦がある
このリクルート社の対応は、社員のライフサイクルの変化をよくとらえた人事施策である。リクルート社のビジネスモデルは、仕事、住宅、旅行、結婚などの個人向けサービスのマッチングをベースにした比較的シンプルなものである。だから管理機構を小さくして、現場の若手社員の活力で乗り切っていこうとしていると思われる。
つまり、自社のビジネスモデルを反映した人事施策になっているのだ。しかも社員の年齢に焦点を当てている。
同じ社員であっても、ライフサイクルの変化によって働き方は変わってくる。本来は、そういう変化をとらえながら人事マネジメントを行っていく必要がある。一方で個々の社員も、年齢を経ることに応じた働き方をつねに考えておかなければならない。
しかし従来の人事制度は、それほど年齢を勘案せずに一律に運営されているきらいがあった。同時に社員の側も、自らのライフサイクルについての感度が鈍かった。
20歳過ぎから60歳までの会社人生を、一気に走り切ることは難しい。
会社人生は、大きく分けると、入社してから仕事を通じて自立していく時期と、組織での仕事に一定のメドがついてから、自分の今後の在り方を考える時期の2つの段階がある。
前者は、仕事仲間や顧客に役立つ自分を、どう作り上げていくかというという課題があるのに対して、後者は、定年後の老いることや死ぬことも視野に入れて、組織との距離感をどう計るのかがポイントである。
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