運動不足で寝たきりが決して他人事でない現実 関節の動きが悪くなると衰えは加速する
転倒による骨折で「寝たきり」になることも
経済的に豊かになるにつれ日本人の食生活は改善され、その間に医療も目覚ましい進歩を遂げました。こうして日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.26歳(厚生労働省「平成29年簡易生命表」)となり、1950年代と比べると21〜24年も延びています。
栄養不足や病気などで若くして亡くなる方が減ったことは、医療に携わる人間として非常に喜ばしいのですが、かつてに比べ四半世紀も長く、肉体という「器」が使われ続けるようになった点を見逃すことはできません。
例えば目は、80代の大部分の人は視界がかすむ白内障になります。下肢の筋力は25歳をピークに落ち続け、50代に入るとピーク時より20%以上落ちるという調査もあります。
こうした体の衰えが、高齢者の自宅での骨折を増加させる一因となっています。30〜40代くらいの方は「自宅で骨折?」などと思われるかもしれませんが、親御さんの世代にとっては決して珍しいことではありません。
高齢になると骨がもろくなることもあり、屋内のわずかな段差で軽くつまずいただけで、腰や太ももの丈夫な骨が簡単に折れてしまうのです。転倒が原因で要介護状態、いわゆる「寝たきり」になる方が増えていることを考えると、自宅での骨折の危険性をご理解いただけるのではないでしょうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら