長谷川滋利が50歳でプロゴルファー挑戦の理由 元メジャー投手が選んだ第2のスポーツ人生

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ゴルフはオリックス入り後、23歳から始めた。「無理やり連れていかれて160ぐらいだった。うまくいかなかったので、真剣にやろうと思ったんです」という。野球を引退後、親交がある丸山茂樹、加瀬秀樹らがアメリカに来た際に教えを受けるなどして腕を上げてきた。「48歳のときにプロになろうと思いました」という。その年(2017年)には全米アマチュア選手権の地区予選会を突破し本戦出場を果たしている。本戦は予選落ちだったが、若い世代との戦いの中で自信をつけた。

プロ2戦目となった先述の「マスターカード・ジャパン選手権」では、出場68人中66位に終わったが、賞金3000ドルを獲得した。メジャーリーグでいうと殿堂入りしているような選手たちとプレーし「緊張している自分が楽しかった。めちゃ、幸せ」と笑った。

「アメリカのチャンピオンズツアーと、日本のシニアツアーの両方に出たいんです」というのが、今後の夢。アメリカの場合は予選会から出場していい成績さえ出せればツアー出場は可能だが、日本のシニアツアーの場合はPGAプロテストに合格しなければ道が開けない。

近年は、トップアマで活躍してきた選手が、シニアの年齢(50歳以上)を迎えるにあって、シニアツアー出場を目的に、10代、20代の選手に交じってPGAプロテストを受験する選手が増えてきている。

ただ、狭き門ではある。若い選手たちと同じ土俵で、1次テストは通ったが、これからが厳しくなる。7月の2次テストでは約400人(3会場)が出場し、最終テストに130人ほどが進む。最終テストでは約50人が合格、PGA会員という資格を得て、PGAのプロゴルファーと認定される。

有名選手がゴルフに挑戦するのは大きな刺激になる

元メジャーリーガーだけあって、長谷川の身体的なポテンシャルは高い。ウエートトレーニングも行っているそうだ。ドライバーの飛距離は290~300ヤードと、若い世代に交じっても遜色はない。「自分としては、アプローチなどで勝負したい。課題は経験でしょうね」という。

プロ野球からゴルフへの転向といえば、ジャンボ尾崎(将司)がいる。昨年は原辰徳現巨人監督がアマとしてシニアツアーに出場し、その実力とともに話題になったことは、紹介した(『「原辰徳」が参戦したゴルフ大会の絶大な効果』2018年8月26日配信)。

ゴルフは激しいスポーツではない。総務省の2016年社会基本調査によるスポーツ人口では、野球やサッカーは10代で250万人前後なのだが、50代になると野球は55万人、サッカーは20万人ほどになる。ゴルフは10代では25万人程度だが、50代では160万人以上になっている。年齢が上がるにつれて、プレー人口が増えるのがゴルフの特徴でもある。

プロ野球に限らず、五輪選手らも含めて他のスポーツで活躍した選手が「第2のスポーツ人生」としてゴルフを選択するのは、ゴルフ界にとっても刺激になる。新たなファンの獲得にもつながる。長谷川のこれからの挑戦に期待したい。

(文中敬称略)

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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