「ペットと住めるグループホーム」の真価とは

精神障害者の置かれる状況は「待ったなし」

なお、6月12日に改正動物愛護法が成立した。繁殖業者などを対象に、犬・猫へのマイクロチップの装着を義務化、また虐待した場合、5年以下または500万円以下の罰金など、厳罰化することなどが盛り込まれている。

「人間の福祉については、社会保障費の膨張を背景に、どんどん『国から地域へ』という流れになっています。発達障害、うつ病といった精神障害者についても、診療報酬が下がるので、病院は3カ月で退院させようとする。しかし受け入れる地域の側では、グループホームなどの受け皿が圧倒的に不足しています」(藤田氏)

退院促進には、精神障害のある人の回復や自立を促進する意味もあり、精神病院を廃絶するイタリアの「バザリア法」をはじめとして、先進諸国は精神病床をなくす、または減らす傾向にある。日本ではまだ入院患者数が30万人以上おり、今後、年間70万人以上が退院してくる。このままだと、そのうちの多くが行き場を失う。

今まさに「退院して居住場所のない人がどこに流れているかというと、ネットカフェ」(藤田氏)という待ったなしの状況だ。

他者との関わりに、ペットが橋渡しとなる面も大きい

2018年6月にオープンした千葉県内のホームを見学させてもらった。入居している女性に聞くと「体験ということだったが、ペットと一緒に住めるところはほかにないので、体験して即入居。実質は一択だった」と冗談混じりに語る。

障害者と一口に言っても、さまざまな人がいる。わおん障がい者グループホームの利用者には、精神障害の人が比較的多い。DVなど家庭環境が原因でうつ病を発症し、自宅での療養ができない人もいる。

暮らしぶりについては「他人と暮らすのは最初大変だった。今は居住者同士で話したり、一緒に食事をしたり、楽しいことが多いです」という。筆者が見ていても、同居している女性同士や、同行した藤田氏とも気兼ねなく気楽に話しているように感じた。

男性棟のキッチン。食事の準備や掃除などはケアペッツのスタッフが行う(筆者撮影)

人間関係で傷を受けた人は、他者との関わりが難しいものの、ペットが橋渡しとなる面も大きいという。犬の散歩に行けば、近所の住民と触れ合うきっかけになる。

もう1棟見学させてもらった男性棟では、「みりんちゃん」という中型の犬がパートナーになっている。人懐こく、優しい性質とのことで、見学者などが訪れると愛想よく振る舞って“営業”をするのだそうだ。

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