工場の"ゴミ"を売る、プリマハムのすごい情熱 「微生物」に魅せられた男の会社員生活

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――肉を分解する微生物を見つけたときの感動はひとしおだったのではないですか?

私どもは肉屋なので、微生物の研究は手探りでした。ですので「こんなものかな?」という感覚で感動はありませんでした。それよりも、感動したのは「買ってくれる」と言われたときですね。研究所なので、営業もいません。自分たちで営業に行くのですが、不慣れなんです。モノを売るって、作るのも大変ですけど、売るのも大変なんだなというのがよくわかりました。

「微生物は裏切らない」実験結果が仕事の楽しみ

――ワーストの3つ目「廃棄プラスチック」ですが、これは対策できたのでしょうか。

「微生物は裏切らない」という岡田さん(写真:筆者撮影)

プラスチックを微生物で分解することは難しいです。ですので、クリアファイルに再生してみました。コスト的に考えて宣伝効果しかありませんが、どのゴミを使うか、何を作るか、デザインはどうするかなど、全部自分たちで考えて、やらせてもらえました。恵まれている業務だなと思います。

プラスチックは今後の課題です。今まで行ってきた「環境」への取り組みは、今後はSDGs(エスディージーズ:豊かさを追求しながら地球環境を守るための国際目標)に広げていかなくてはなりません。今は、そこに向けて検討しています。

――研究職の楽しさは、どういうところにあると思いますか?

微生物の実験は、すぐに結果は出てきません。結果が出る日は、会社に行くのが楽しみになります。研究という仕事のいいところは、自分が興味を持っていることを会社に来て確認できることにあると思います。

核となる実験結果が出るときは、出社して真っ先に実験室に行きます。仕事ですから、雑務などはおもしろくないと感じることもありますが、実験結果は、誰の干渉も受けずに、結果は結果として出てきます。微生物は裏切りませんから。

「御社のオタクを紹介してください」というこの連載。「オタクといえるほどでは……」と謙遜する方も多いのだが、岡田さんもそのひとり。ただ「仕事を楽しんでいる人に話を聞いている」と伝えたところ「それだけは自信があります」と応じてくれた。何をやってもいいと言われる反面、肥料を作る研究も、生ごみ処理機用の菌を探す仕事も、当初はゼロからのスタートだったそうだ。裁量がある仕事をどうやって楽しむか、岡田さんの働き方は間違いなく参考になる。
高橋 ホイコ ライター

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たかはし ほいこ / Hoiko Takahashi

1976年生まれ。国民生活センター勤務を経てフリーライターに転身。ウェブメディアを中心に執筆中。企業の一風変わった取り組みへの取材を得意とする。趣味はホルン演奏、ピンクのガジェット収集、交通インフラの豆知識集めなど。トマトマンの斜め上行く生活術管理人。

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