「何となくAI 」、実はアルゴリズム活用だった 真に「AIを導入した」と企業が言ってよい条件

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AIとアルゴリズムの関係性、その奥深さを井上研一氏が説く(写真:monsitj/iStock)
2020年にプログラミング教育が小学校で必修化され、ビジネスの世界でも、プログラミングが一大ブームである。コンピューター・プログラムを動かす原理は、「一連の処理手順=アルゴリズム」である。
そんななか、マサチューセッツ工科大学、アップルなど、ITの最前線で活躍してきた若きエンジニアが、文科系でもわかるよう、アルゴリズムの考え方を日々の身近な事例を用いて平易に解説するというユニークな本を刊行し、話題となっている。この春、日本で『爆速!アルゴリズム』というタイトルで翻訳出版された。
今回は、AIやIoTに強いITコーディネーターとして活躍する井上研一氏が、AIとアルゴリズムの関係を解説する。

アルゴリズムを理解しているプログラマーは少ない

AIが騒がれ始めてから、もう何年経つでしょうか。IT分野の調査やコンサルティングを行うガートナージャパンは、技術の成熟度や社会への適用度を示すハイプサイクルを定期的に発表していますが、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018年」によれば、AIは「過度な期待」のピーク期を過ぎ、一気に期待がさめる幻滅期の入り口に立っています。

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ハイプサイクルによれば、AIのような新技術が登場すると過度の期待や誇張(ハイプ)が起き、いずれ幻滅するといわれています。

しかし、本当に力のある技術であれば、幻滅期から再び啓蒙活動期に入り、生産性の安定期に移って広く活用されるとされています。私は、今回のAIブームについては、そのように活用される技術になると考えています。

AIが啓蒙活動期から生産性の安定期に入ったとき、本当に活用されているAIとはどのようなものでしょうか。もちろん、ディープラーニングを活用した画像認識など最新技術としてのAIを挙げることができます。一方で、正確にはAIといえないような既存のアルゴリズムの中にも、多くの人が期待するようなAIらしさを備えたものであれば、脚光を浴びると思います。

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