働き方を変える「Slack」、急成長の舞台裏

会社の合い言葉は「しっかり働き家に帰ろう」

9月上旬にサンフランシスコで開かれたスラックの顧客向け戦略説明会。Slack(スラック)共同創業者のスチュワート・バターフィールドCEO(右)と対談しているのは、ピクサー創業者のエド・キャットマル社長(写真:記者撮影)

「これは単なる熱狂なのか、それとも本当に変化が訪れているのか。君はどう思う?」9月上旬、アメリカのサンフランシスコで開かれたあるイベントで、ランチの時間たまたま隣り合わせたアメリカ人の記者が、参加者にこう問いかけていた。

熱狂――。アメリカでは新しい技術やサービスが出てきたときに、消費者の興奮状態をこうやって言い表すことが多いが、この日開かれていた「Slack(スラック)」の顧客向けイベントもちょっとした高揚感に包まれていた。前述の記者の問いかけに、前にいた男性はこう返した。「中身のない熱狂じゃない。使ってみれば絶対にわかるから」。

仕事は複雑化し、働き方も変わっている

スラックは簡単に言うと、企業向けチャットソフトだ。テーマ別に「チャネル」と呼ぶトークルームを作ると、そこに参加している人のやり取りが時系列で表示されていく。「職場用のLINE」といえばイメージしやすいだろうか。オフィス内外のコラボレーションやコミュニケーションを容易にするとして導入する企業が増えており、日本でもヤフーが全社で導入すると発表したばかりだ。

誕生から4年でスラックを毎日使うユーザー数は全世界で800万人(5月時点)と昨年の9月から200万人増加。そのうち300万人は有償サービスユーザーであり、こちらは昨年9月から100万人増えた。ベンチャーキャピタル(VC)からの評価も高く、8月末には新たに4億2700万ドル(約480億円)を調達。評価額は71億ドル(約8000億円)と、この2年で約20億ドル(約2200億円)膨らんだ。熱狂とまでは言わないまでも、新しいモノ好きのアメリカ人、とりわけハイテク関係者が期待を持つのは不思議ではない。

実際、ビジネスチャット市場は盛り上がりを見せている。かつてはメールで用事が済んでいたが、今は部署をまたいで複数人が関与する横断的プロジェクトが増えたり、会社以外で仕事をする人が増えている。こうした中、複数人のやり取りに向いたチャットが重宝されるようになっており、マイクロソフトやグーグル、フェイスブックなどがビジネスチャットツールを提供。マイクロソフトやアマゾンによるスラック買収も取りざたされている。

とはいえ、メールを使い慣れている人からすると、スラックを取り入れる利点は見えにくいかもしれない。これに対して、スラック共同創業者のスチュワート・バターフィールドCEOはこう説明する。

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