英語が話せない人がわかってない基本中の基本 ネイティブと同じ文法と単語の選び方が必要

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そのためにまず、基本となる文法と単語について解説しよう。

英語の本質は「配置の言葉」という点だ。英文の基本配置は「5文型」に、「指定」と「説明」という修飾ルールを加えた原則によって決まっている。このルールさえ頭に入れれば、ほとんどの文は作ることができる。

おおにし・ひろと●筑波大学大学院文芸言語研究科博士課程修了。英オックスフォード大学客員研究員を経て現職。NHK語学番組の人気講師。(撮影:梅谷秀司)

まず文の骨組みを決めるのが、1つ目のルール「基本文型」だ。基本文型には5つあり、①他動型、②自動型、③説明型、④授与型、⑤目的語説明型となる。ネイティブは表現したい内容を、5つの基本文型のどれかに当てはめて英文を作る。文型さえ決まれば、その設計図に従って表現を放り込んだら英文は完成する。

2つ目のルール、修飾も同じだ。まずは前に置いて後ろの語句を修飾する「指定ルール」から説明しよう。

例えばHe is very tall. という文。なぜveryはtallの前に置かれているのか。「ただ単に背が高い」ではなく「とても背が高い」と、tallの程度を指定するためだ。

助動詞が前に置かれるHe may be ill. も、後ろにある動詞句、be illの内容を「(事実ではなく)かもしれない話だよ」と指定するためだ。英語の表現配置は単純なのだ。

次に、後ろから前の語句を修飾する「説明ルール」も同じだ。

例えばI had an amazing party last night. という英文。時を表すlast nightという副詞が文末に置かれる理由は、「その出来事=an amazing partyがいつ起こったのか」について説明を加えているからだ。

That's the man who stole my bag!では「あれが男だ」とまず言い切る。次に、「どんな男なのか」を「私のバッグを盗んだ」と、関係詞節が説明している。「大切なことは先、説明は後ろ」という「説明ルール」の語順を理解しておこう。

この日本語訳は「私のバッグを盗んだ男」である点に注意しよう。日本語と英語とでは多くの場合、語順が逆転する。こうした語順の変化がなぜ起こるのかは、従来の「日本語に訳すだけ」の学習ではなかなか理解できなかった点だ。このように、英語の「配置の原理」を知り、習熟することが、英会話を征服する第一歩といえる。

ネイティブに近づく方法はイメージをつかむこと

文法に続いて単語についても、ネイティブに近づく方法がある。

単語も「訳すだけ」の知識では幅広く使えない。日本語訳にとどまらない単語の中核的な意味(イメージ)をつかまなければならない。

例えばfineという単語は、「元気、晴れている」と覚えるだけでは活用できる場面が限られる。fine goldは「元気な金」ではないからだ。fineのイメージは「濁っていない、スッキリ」となる。fine goldは「(不純物の混ざっていない)純金」だし、あいさつでI'm fine. というとき、それは「元気」にとどまらず、心身ともに憂いのない「スッキリ」した状態を表している。イメージの理解は、適切な表現を選び出す助けにもなる。

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