アメリカ為替政策報告書に見るトランプの不満 ドル高へのいらだちとユーロ圏への不信感

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とりわけ欧州債務危機の原因を作った重債務国、いわゆるPIIGS(表のブルーの網掛けの部分)の経常収支を見ると、その改善幅は著しい。今やはっきりと赤字が続いているのはギリシャくらいであり(それでも改善は大きい)、多くの国は黒字化している。過去10年間でユーロ圏全体の経常収支が対GDP比で2.7%ポイントも押し上げられた要因としては、ドイツの黒字拡大もさることながら、こうした対外経済部門に難ありとされていた劣等国の黒字化も無視できないだろう。

むろん、これはユーロ圏特有の偏執的な緊縮路線がもたらした貯蓄・投資(IS)バランス上の結果でもあって、黒字化は必ずしも域内経済の好調を意味しない。

例えばイタリアの経常収支が改善した背景の1つには対外債務削減により所得収支の赤字が縮小したことが挙げられる。一方、アイルランドは法人税率の低さや柔軟な雇用市場によって純粋に競争力が高まった結果との評価が目立つ。だが、成長の大きな部分が外資系企業の誘致によりもたらされており、アイルランド居住者の生活水準の改善は限定的であることも問題になっている。

背景にどのような事情があるにせよ、「過剰な黒字は悪」との評価軸を持つトランプ政権にとっては面白くない存在として映っているはずだ。

次ページ矛盾する記述、結局はドル高が問題?
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